ブラジル、インフラ整備に7.9兆円 民間資金の活用期待

2015/6/10付
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【サンパウロ=宮本英威】ブラジル政府は9日、総額1984億レアル(約7兆9千億円)に上るインフラ整備計画を発表した。国が施設の建設や運営を民間に任せる「コンセッション」方式を活用し、道路や鉄道を拡充する。財政が苦しい中でも資源の輸送の効率向上などで産業競争力の強化を進めたい考えだ。ただ、景気浮揚への即効性は限定的との見方もある。

ルセフ大統領は9日、首都ブラジリアの大統領府で演説し「計画はより良い将来に扉を開く。何重にも効果は表れる」と強調してみせた。

今回のインフラ整備は高速道路、鉄道、港湾、空港の4分野で実施する。資源価格の下落に伴う景気低迷で財政状況が厳しいなかで民間資金を多く活用したい考えで、入札を通じて国営施設の運営を民間企業に任せる範囲を広げていく。

高速道路は今後2年間の入札で6974キロを複線化や3車線化などで整備する。鉄道では穀物や鉱物の輸送効率の向上を目指す。5月に中国の李克強首相がブラジルを訪問した際に両国が合意した、ブラジル中西部とペルーの太平洋岸を結ぶ鉄道区間が含まれた。4カ所の空港も民営化される。

計画のうち、ルセフ氏の任期が終わる2018年末までの支出は692億レアル。全体の6割強にあたる1292億レアルは19年以降に実施するため短期的な経済効果は限られそうだ。

ブラジルでは、景気低迷と低所得者層向けのばらまき的な施策を拡大してきた結果、財政状況は悪化している。14年の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は国内総生産(GDP)比で0.6%の赤字に転落した。今年の経済も厳しい状況で、1.3%程度のマイナス成長が見込まれており、PBの黒字転換を目指す中では財政に余裕はない。

ルセフ大統領は経済の減速が鮮明になってきていた12年8月にも、今回同様の大型インフラ整備計画を公表。この時は5年間で795億レアルの投資を呼び込む計画だったが、現時点で2割しか実行に移されていないとの報道もある。今回の計画も実際にどの程度、実行されるかは不透明だ。

今回のインフラ計画には、リオデジャネイロ―サンパウロ近郊間の511キロの高速鉄道の投資計画は含まれなかった。日本の企業連合が応札を検討しているが、延期が続いており公示書類の開示に至っていない。関係者からは「政府にとって優先度が低くなっている」との声が出ている。

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