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ロボットで容疑者殺害、懸念も 米の警官銃撃

【ニューヨーク=中西豊紀】米ダラスで5人の警官が犠牲になった8日の銃撃事件は人種差別や銃規制といった同国が抱える問題を改めて浮き彫りにした。だが今回は殺傷能力を持つ「ロボット」活用の是非も米国内で議論になっている。ダラス警察は容疑者をロボットに積んだ爆弾で殺害したが、一般市民向けにこうした措置を警察がとるのは初めてだからだ。

発表によると、ダラス警察は元陸軍予備役兵士の黒人マイカ・ジョンソン容疑者との銃撃戦の末、遠隔操作のロボットを送り込み自爆させたという。ロボットはカメラや可動式の腕が付いた爆発物処理用とみられるが今回は爆弾をくくりつけて殺傷目的に転用した。デビッド・ブラウン署長は「他の選択肢は警官をさらに危険にさらしていた」とやむにやまれぬ判断だったと話す。

複数の米メディアによると、無人飛行機を使った爆撃など戦争時に軍隊がロボットに頼る例はあるが、米警察が人を殺害することを目的にロボットを使ったのは初めてという。警察のロボット利用を定めた明確なルールもないとみられ、ニューヨーク・タイムズは「戦争と警察行為の境界線があいまいになった」と指摘している。

軍が使うようなロボットを地方の警察が保有していたことも国内では驚きを持って迎えられている。ダラス警察は米防衛大手ノースロップ・グラマン製の爆発物処理ロボットを少なくとも3台保有していたもよう。ウォール・ストリート・ジャーナルは「他の警察による乱用を引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らす。

世界の中でもロボット活用が進む米国だが、既存の制度がカバーできていない先進技術を社会がどう受け入れるかはひとつの課題だ。今回のダラスでの事件も、警察など公権力によるロボット活用のあり方を巡る議論を促しそうだ。人工知能(AI)も含めて米国の人々の生活に溶け込み始めた新技術は、産業界にとどまらず今や政治や社会の重大問題として扱われ始めている。

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