2019年2月19日(火)

トルコ、連立協議始まる 大統領権限拡大など溝深く

2015/6/10付
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【イスタンブール=佐野彰洋】7日投開票のトルコ総選挙で与党・公正発展党(AKP)が過半数割れになった事態を受け、9日までに第1党のAKPを軸とする連立政権の樹立を巡る協議が始まった。AKPが基盤のエルドアン大統領が目指す大統領の権限拡大や少数民族の扱いなどを巡る各党の溝は深く、難航するとの見方が広がっている。これが同国経済の不透明感につながり、市場を揺るがしている。

エルドアン氏は9日に首都アンカラでAKP党首で首相のダウトオール氏と会談した。ダウトオール氏はこの席で首相職の辞任を表明した。エルドアン氏はこれを受け入れたうえで、新内閣が成立するまで首相職にとどまるよう求めた。両氏は会談で、連立に向けた対応も話し合ったもようだ。

ダウトオール氏は総選挙の大勢判明後、閣僚やAKP幹部との会談を重ねている。トルコでの報道によるとダウトオール氏は、数日かけて党内の意見を聞くもようだ。

新議会は6月下旬に招集される見通しだ。議長選出などの手続きを終えた後、慣習に従い、大統領が第1党の党首に組閣を命じる。第1党が失敗した場合は第2党の党首に命じる、といった手続きになるとみられる。

第1党党首への組閣命令から45日たっても新政権の樹立ができなければ、憲法の規定に従い、改めて総選挙を実施する。

エルドアン氏は8日の声明で「どの政党も単独政権は樹立できない」と指摘した。同氏が大きな影響力を持つAKPが過半数を割り込んだまま法案や政策ごとに他党と提携する「少数与党」でなく、他党との連立を目指すという考えを示唆したと受け止められている。

中道右派でイスラム教色の強いAKPの連立相手として相性がよいと一般にみられる相手が、第3党で右派の民族主義者行動党(MHP)だ。大統領が現在のような有権者の直接投票でなく国会での互選で選ばれていた際に、AKPからの候補の当選に協力したこともある。仮に両党が連立で合意すれば議席数は計338となり、過半数の276を大きく上回る。

MHPのバフチェリ党首は総選挙の大勢判明後に「AKPはMHPのほかの野党と連立を組むべきだ」と公言した。だが、水面下ではAKPに対し(1)少数民族クルド人系のテロ組織との和平交渉の破棄(2)エルドアン大統領の中立維持(3)政権の汚職疑惑の捜査――の3点を求めているもようだ。

大統領は憲法上、政治的に中立のはずだが、エルドアン氏は総選挙の期間中に各地で遊説し、野党批判を繰り返した。AKPに憲法改正の発議に必要な330議席(定数の5分の3)以上を獲得させ、大統領の権限を大幅に強める考えだった。

第2党で中道左派の共和人民党(CHP)や、MHPと並んで第3党の左派、国民民主主義党(HDP)は選挙戦の段階でAKPとの連立を明確に否定した。HDPはクルド人を中心に構成する政党だ。AKPを除く3党による連立も計算上はあり得る。しかし、MHPとHDPの間をはじめ、3党の政策や思想で異なる部分が多く、困難との見方が支配的だ。

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