2017年12月17日(日)

イラク首相、モスル入りか 「イスラム国」拠点

2017/7/9 19:36
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8日、イラク・モスルの旧市街で、引きずり下ろした過激派組織「イスラム国」(IS)の旗を持つイラク軍兵士(ロイター=共同)

8日、イラク・モスルの旧市街で、引きずり下ろした過激派組織「イスラム国」(IS)の旗を持つイラク軍兵士(ロイター=共同)

 【カイロ=飛田雅則】過激派組織「イスラム国」(IS)が支配してきたイラクの北部、モスルの完全制圧が大詰めを迎えている。現地メディアはイラクのアバディ首相が勝利宣言をするため、モスルに入ったと報じている。「建国」を宣言した象徴的な都市を失えば、ISにとって大打撃だ。イラクには戦闘員が潜んでおり、反撃に出る恐れもある。

 イラク軍は旧市街の主要地区を次々と制圧、ISをチグリス川沿いの狭い地域まで追い込み、制圧まで「数十メートルに迫った」と強調する。勝利宣言を待ち切れないイラク軍兵士が歓喜の声を上げ、9カ月もの激闘をたたえ合った。背後には無残に破壊された建物が並び、激戦を物語る。

 イラク軍は2016年10月にモスル奪還作戦を始め、17年1月にモスル東部を制圧。西部の旧市街に追い込んだ。住民も多く住み、犠牲を抑えるためイラク軍は慎重に作戦を遂行。避難は続くが、まだ多くの住民が取り残されているという。

 劣勢となったISは自爆テロなどで激しく抵抗。ISは子どもに爆弾ベルトを装着させ、一般住民に紛れ込ませるほど追い込まれている。ひげをそり、服装を変えて逃走する戦闘員も出た。陥落が迫った8日には川に飛び込み脱走する戦闘員もおり、IS支配崩壊は時間の問題となっている。

 モスルはISが14年6月に「国家樹立」を宣言した象徴的な場所だ。銀行や商店の略奪や原油の密輸などの不正行為により資金を得て、イラクやシリアで支配を拡大。抵抗する住民を公開処刑にしたり、奴隷制を復活させたりするなど恐怖で統治。寛容や平和を説くイスラム教本来の教義とは逆の支配体制を敷いてきた。

 イラクの状況に危機感を募らせた米国軍など有志連合の支援もあり、イラク軍は反攻に転じ主要都市を奪還。ただ、死亡情報が相次いで浮上するISの指導者バグダディ容疑者の行方はつかめていない。イラクとシリアの国境付近に残るISの支配地域に潜伏するとされる。

 ISは「建国の地」を失いつつあるが、テロの機会を待つ「スリーピングセル(休眠細胞)」が各地に潜む。今月7日までにモスル南方の街で、IS戦闘員が襲撃し住民らが犠牲となったばかりだ。7日にはエジプトの検問所で自爆テロを仕掛けている。今後もテロで報復する恐れがある。

 さらにイラクとシリアへの物資供給の拠点となってきたモスル西のタルアファルには、千人強のIS戦闘員が潜伏する。イラク軍は近く戦闘作戦を始める見通しだ。IS残党の掃討に時間が費やされれば、インフラが破壊されたモスルの復興が遅れる可能性がある。住民の不満が募れば、政情の不安定につながりかねない。

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