英グラクソ、純利益89%減 16年12月期
【フランクフルト=加藤貴行】英製薬最大手グラクソ・スミスクラインが8日発表した2016年12月期決算は、純利益が前の期比89%減の9億1200万ポンド(約1280億円)だった。ノバルティス(スイス)との事業交換に伴う利益が消えたのが主因。一時的な要因を除いた中核営業利益は36%増の77億7100万ポンドと、新薬が好調で英国の欧州連合(EU)離脱後のポンド安のプラスの効果も出た。
売上高は17%増の278億8900万ポンド。為替変動の影響を除けば6%増だった。近年発売し収益性が高い新薬は、エイズウイルス(HIV)や呼吸器系などの分野がけん引し、売上高が45億ポンドと倍以上に成長した。ワクチンや大衆薬も好調だった。
17年末までに総額年30億ポンドをめざしていたコスト削減は16年で14億ポンドを実現し、ポンド安の効果もあり16年時点で30億ポンドに到達した。
17年は主力の気管支ぜんそく・慢性閉塞性疾患(COPD)の治療薬が主力の米国での特許が切れ、後発医薬品との競合が始まる可能性がある。グラクソは後発薬が現れた場合、17年12月期には最大10億ポンドの減収要因になり、実質的な1株利益が横ばいか微減になると予想した。後発薬が販売されなければ、1株利益は5~7%増になる見通しだとした。