クルド系政党が躍進 トルコ総選挙

2015/6/9付
保存
共有
印刷
その他

【イスタンブール=佐野彰洋】7日投開票のトルコ総選挙では少数民族クルド人系政党の国民民主主義党(HDP)が躍進し、イスラム系の与党・公正発展党(AKP)を過半数割れに追い込んだ。野党が一定の発言力を持ち国内のクルド人との融和が進めば、トルコ社会の安定を期待できるとの見方もある。

クルド人は国を持たない最大の民族と呼ばれ、シリア、イラク、イランにもまたがって2500万~3000万人が暮らす。トルコ国内では1984年から非合法組織のクルド労働者党(PKK)が分離・独立を求める武装闘争を繰り広げており、4万人以上が犠牲になった。

AKPは政権の座に就いた2002年以降クルド人を取り込み、支持基盤としていた。転機となったのは過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭だ。クルド人の暮らすシリア北部の街アインアルアラブ(クルド名コバニ)が14年秋、ISに包囲された際、エルドアン氏は「陥落寸前だ」などと発言し、防衛の協力を渋った。この発言を契機にクルド人の間では政権に見殺しにされかけたとの不満が募り、AKPからの離反は一気に進んだ。

クルド人の不満の受け皿となったのがHDPだ。今回の選挙ではクルド人に加え、反エルドアンの世俗主義者も取り込み票を集めた。トルコでは国会で議席を得るのには10%の得票が必要とする条項があるが、今回は多くの選挙区で10%の壁を乗り越えたことで大幅増につながった。改選前の3倍近い80議席を得た。

過半に満たないAKPは今後、連立を模索するとみられる。7日夜、イスタンブールで記者会見したHDPのデミルタシュ共同党首は「行政権を持つ大統領と独裁の議論は終わった」と発言。AKPと連立を組む可能性を明確に否定した。HDPはクルド和平の推進や自治の獲得、少数政党の国会進出を阻む10%制限条項の撤廃などに取り組む見通しだ。与党としては80議席を得たクルド人政党の意向は無視できなくなる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]