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海洋法仲裁判決、無視されたケースも

国連海洋法条約に基づく仲裁裁判では、これまでどんな例を扱ってきたのだろうか。当事国双方が判決に従ったり、判決前に当事者間で交渉したりして、問題が解決した例がある一方、当事国の1つが判決を無視したこともある。

紛争当事国の一方が欠席しても審理が進むのが仲裁裁判の特徴だ。南シナ海を巡る裁判で中国が参加しなかったように「欠席裁判」は過去にもあった。オランダの提訴に対して、ロシアが取り合わなかった「アークティック・サンライズ号事件」で、今回の仲裁裁判と経過が似通う。

国際環境保護団体グリーンピースのオランダ籍の船アークティック・サンライズ号が13年9月、ロシアのガス田に近づいて運動家がやぐらに乗り移り、同国当局が拿捕(だほ)した。オランダはロシアの拿捕が国際法違反だとして仲裁裁判を申し立てたが、同国は裁判の参加を拒否。オランダの主張を一部認めて賠償を命じた判決にもロシアは応じていない。

逆に紛争の両当事国が判決を尊重して従ったのが、バングラデシュとインドがベンガル湾で境界を争った事例だ。両国間の長年の懸案事項になっていたため、バングラデシュが2009年に仲裁裁判所に申し立てた。

仲裁裁判所は14年7月、裁判の対象になった海域の8割近くをバングラデシュの管轄が及ぶとする判断を下した。インド側も境界が画定すれば、同湾の資源開発が進むと判断して判決を受け入れた。

判決前に当事者間の交渉で紛争が解決したこともある。マレーシアは両国の間にあるジョホール海峡でシンガポールが計画した埋め立てに反対し、同国を訴えた。結局、判決を待たずに、埋め立て計画を変更することなどで両国が合意し、決着した。

日本が訴えられたこともある。オーストラリアとニュージーランドは1999年、日本によるミナミマグロの調査漁獲を阻止しようと訴えを起こした。日本政府は今回の中国と同じように「仲裁裁判所にはこの件を審理する管轄権がない」と主張。仲裁裁判所は00年8月、日本の主張を全面的に認めた。

このほか海洋法条約ではないが、大国と小国が国際法を巡って争ったのが米国と中米ニカラグアの例だ。同国内の反政府武装勢力を米国が支援したことに対して、ニカラグアが国際法違反だとして国際司法裁判所に訴えた。

同裁判所は86年に米国の誤りを認めて賠償を命じたが、米国は拒否。ニカラグアが判決に従うよう国連安保理に申し立てたが、米国が決議案に拒否権を発動し、国際社会から批判を受けた。その後、米国は外国の反政府組織を大々的に支援するのを控えるようになったとされる。

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