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米人種問題が再燃 警官5人死亡、黒人射殺の報復か

地元警察、3容疑者拘束

(更新)

【ニューヨーク=高橋里奈】黒人が警察官に射殺されたことに対する米南部テキサス州での抗議デモは、警察官5人が銃撃され死亡する事件に発展した。地元警察は7日、容疑者3人を拘束、1人を殺害した。死亡した容疑者は白人警官への敵意をあらわにしており、黒人射殺に対する報復の可能性もある。米国社会に根深く残る人種問題が再燃している。

警察官への銃撃は7日夜(日本時間8日午前)、警察が黒人を射殺したことに対するテキサス州ダラスでの抗議デモの最中に起きた。何者かが高い場所から、デモに備えていた警察官らを次々に狙撃し、5人が死亡。警察官7人が負傷した。市民2人が負傷したとの報道もある。

警察は容疑者3人を拘束。地元警察などによると、別の容疑者1人を駐車場で包囲し、45分にわたり銃撃戦を繰り広げた。数時間交渉した後、警察が爆弾をロボットで運び、殺害した。犯人は抗議活動の合言葉「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」を口にし、白人への敵意をあらわにした。特に「白人警官を殺したい」と主張したという。米メディアによると、死亡した犯人はマイカ・ジョンソン容疑者(25)で犯罪履歴はないという。

ダラスは南部有数の都市。デモ参加者らが逃げ惑い、警察の特別機動隊(SWAT)や爆発物処理班が駆けつけるなどして現場は騒然とした。

訪欧中のオバマ米大統領は8日、ポーランドの首都ワルシャワでの記者会見で、米テキサス州ダラスの警察官銃撃事件について「警官を狙った悪質で卑劣な、計算された攻撃だ」と非難した。犯行は「正当化できない」と指摘。事件の詳細は不明だとして、米連邦捜査局(FBI)などが捜査を進めていると述べた。

発端となった可能性があるのが、警察官による黒人男性の相次ぐ射殺事件だ。南部ルイジアナ州バトンルージュで5日、黒人男性が警察に射殺された。雑貨店の前でCDやDVDを売っていた男性が、銃を持った男がいるとの通報で駆けつけた警官に取り押さえられ殺された。その様子が撮影され、インターネット上に投稿された。

6日には中西部ミネソタ州ファルコンハイツで黒人男性が警察官に撃たれて死亡した。自動車のライトが壊れているとして停車を求められ、免許証などを取り出そうとした際に発砲されたもようだ。同乗していた婚約者が射殺現場の状況を撮影し、ネットで公開。警察官の暴力行為を多くの市民が目にし、怒りに火が付いた。

警察に対する抗議デモは7日、各地に拡大。南部アトランタ、中西部シカゴ、東部ニューヨーク、首都ワシントンなどで行われた。ダラスでのデモには1000人ほどが参加しており、警察官を狙った銃撃はそのさなかに起きた。

警察官が絡んだ黒人の死亡事件は度々起きている。2014年8月、中西部ミズーリ州ファーガソンで白人警官が黒人の青年を射殺。警官の起訴が見送られたため、人種差別だとする抗議デモが全米で広がった。ニューヨーク市警の警察官2人が黒人の男に射殺される事件も14年12月に起きている。

警察の不当な扱いで黒人が犠牲になるたびに抗議デモが各地で行われるが、根底にあるとみられる人種に対する差別や偏見は米国社会からなくせていない。報復の可能性がある警察官の射殺事件が起きたことで、人種対立が深まる懸念もある。

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