2019年9月23日(月)

中国「新型国際関係」を提唱 外相、米一極「改善」に意欲

2015/3/9 1:00
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【北京=島田学】中国の王毅外相の8日の記者会見で目立ったのは、戦後70年という節目の今年になって強調し始めた「新型国際関係」という新たなキーワードだ。中国が大国としての責任を果たし、米国一極支配を念頭に「これまでの国際秩序を改善」し、「協力と互恵に基づく新たな関係」を目指すとした。だが「大国」を自認する中国の今後の出方には懸念も強まりそうだ。

「戦後70年で国際的な枠組みも大きな変化が生じている」。王外相は米国を念頭に「1騎で戦う古いやり方、勝者総取りの古い考え方は捨て去るべきだ」と指摘し、「これまでの秩序を刷新・改善するための改革」が必要だと訴えた。

中国はかねて、米中関係については共に大国として共存できる「新しい形の大国関係」構築を提唱してきた。今回、「新型国際関係」という新たな概念を打ち出したのは、今後米国と伍(ご)していくため、より多くの国に協力を呼びかける必要が高まったためだ。

米国をハブとする「同盟を結ぶこと」(王外相)による国際秩序ではなく、各国が「パートナー同士として、協力とウインウイン関係を核心とする関係」(同)に基づく秩序を目指すものだ。

その下で、周辺国との間では協調関係に基づく関係構築を目指すと位置づける。中国から欧州やアフリカまで陸と海を結ぶ2つのシルクロード構想である「一帯一路」戦略の提唱も、周辺国外交の一環だ。

もっとも王外相は国際社会からの警戒感も意識し、中国が新型国際関係の構築を目指すことは「従来の秩序を覆すものでも、別の秩序を築くものでもない」と強調した。

中国のいう「従来の秩序」の中心に位置する米国との関係では、「最低でも『衝突せず対抗せず』という一線を守りウインウイン関係を築きたい」と語り、安定した関係を構築したいとした。

9月には習近平国家主席が国連創設70年の記念行事に出席するため訪米し、オバマ大統領と会談する。王外相は「米中の利益が最も重なるのがアジア太平洋地域だ。この地域から『新しい形の大国関係』の構築を始めたい」と強調。首脳会談を通じ、米中がアジア太平洋地域で共通の利益を広げ、信頼醸成を深めることが地域の安定につながると主張した。

中国は外交上は対米協調を掲げるが、安全保障面での米国への警戒は崩していない。米国側も、中国の国防費増額や中国政府の関与が疑われる米企業を狙ったサイバー攻撃で対中批判を強めている。王外相は「インターネット空間を摩擦の源ではなく、新しい協力分野にしたい」と呼びかけたものの、摩擦の解消は容易でない。

アジア太平洋地域でも、日本や周辺国との海上での摩擦は続く。王外相は、東南アジア諸国と領有権を争う南シナ海で中国が基地建設などを進めていることについて「自らの島々で必要な建設を進める権利がある」とし、従来の領有権の主張を繰り返した。

ロシアとの関係では、ウクライナ情勢などを念頭に「中ロ関係は国際情勢の変化の影響を受けず、また第三国に対抗するものでもない」と述べた。欧米諸国が対ロ制裁を実施する中で、中国としては引き続きロシアとの関係強化を進める考えを示したものだ。

冷え込みが続く中朝関係では、実現していない金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との会談について「さらに双方の都合を考えねばならない」と述べるにとどめた。

一方、王外相は中東の過激派「イスラム国」などによるテロが活発となっていることでは、中国も過激派によるテロの被害者だと主張したうえで「対テロ協力に積極的に参加する」と強調した。

国内ではイスラム教徒が多いウイグル族の一部が、中国政府への不満から国境を越えて「イスラム国」の活動に参加する例が増えている。当局は国内でのテロ活動が活発になりかねないとの警戒を強めている。

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