2019年9月16日(月)

中国外相記者会見の主なやりとり

2015/3/8 22:43
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【北京=島田学】中国の王毅外相の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせた8日の記者会見の主なやりとりは次の通り。

「昨年の今日、マレーシア航空370便が消息を絶った。しかし捜索は続いている。乗客の遺族にとって今日はつらい日だが、我々の心は皆さんと共にある」

――2014年の外交の成果は。15年の外交のキーワードは。

「14年は中国外交にとって確実に収穫の一年で、同時に開拓の一年だった。上海でアジア信頼醸成措置会議(CICA)の首脳会議を、北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)の開催に成功し、国際問題や地域問題で中国の果たすべき役割を果たした」

「対外的協力も大いに開拓した。(中国から欧州やアフリカまで陸と海を結ぶ2つのシルクロード構想である)『一帯一路』の提唱は大きな反響を呼んだ。我々はパートナーとして協力とウインウイン関係を核心とする新型国際関係に着目し、同盟を結ぶわけではなく、新しい外交路線を歩みつつある」

「15年の中国外交のキーワードは『1つの重点、2つの主軸』だ。1つの重点とは『一帯一路』を全面的に推進することだ。各国と政策を巡るやりとりを強め、互いの利益の結節点を絶えず広げていく。互いを結ぶインフラ、陸上の経済回廊、海上協力の基盤を作っていく。自由貿易協定(FTA)を巡る交渉もさらに加速させていく」

「2つの主軸とは、平和と発展という2つのテーマにしっかり取り組むことだ。反ファシズム戦争勝利70周年の関連行事を開催し、歴史をかがみに未来を切り開く。国連創設70年の節目に、気候変動問題に積極的に参加し、建設的な役割を果たしていく」

――「一帯一路」構想からは中国の地政学的かつ国益上の思惑が透ける。

「『一帯一路』は開放と協力の産物であり、地政学的道具ではなく、時代遅れの冷戦時代の考え方でとらえるべきではない。その理念は共同発展、協力、ウインウインであり、既存の地域協力メカニズムとの相互補完も重視している。中国だけの独奏曲ではなく、関係国が皆で参加する交響曲だ」

――西側諸国が対ロ制裁を実施するなかで中ロ関係の発展にどう取り組むか。

「中ロ関係は変化する国際情勢の影響を受けず、またいかなる第三国に対抗するものでもない。すでに強固な戦略的相互信頼の関係を構築している。中ロの実務的な協力は互いに必要性があるからだ。天然ガスパイプライン、長距離旅客機の共同開発、極東開発、高速鉄道建設、金融などの分野の協力を強化していく」

――今年は国連創設70周年の年だ。中国は現在の国際秩序を覆し、中国主導の新たな秩序を構築しようとしているのではないかとの指摘もある。

「国連を中心とする国際秩序と国際体制を大船に例えれば、我々は中国や190あまりの国々が乗る船を転覆させるのではなく、この船をより正しい方向に安定して進めようとしている」

「当然、この70年で国際的な枠組みや情勢にも非常に大きな変化が生じている。我々は国際秩序と国際体制の改革を主張しているが、これは従来の秩序を覆し、別の秩序を築くためではなく、これまでのものを刷新し、改善するためだ」

――今年後半には習近平国家主席が訪米する。「新しい形の大国関係」の構築は、サイバー問題やアジア太平洋地域の海上の摩擦につながるのか。

「今年秋のオバマ大統領との会談では新しい形の大国関係の構築に向けて新しい原動力が注入されることを期待している。新しい形の大国関係には前例がなく、順風満帆というわけにはいかないだろうが、双方の利益に合致しており、時代の流れに沿った必然のものだ。双方が誠意を示し、最低でも『衝突せず、対抗せず』という一線を守り、相互尊重の基盤を作りながら、ウインウイン関係を築きたい」

「米中の利益が最も重なり、相互作用が最も頻繁なのがアジア太平洋地域だ。この地域から新しい形の大国関係の構築を始めたい。双方が戦略的相互信頼を築き、好ましい相互作用があれば、この地域の平和と安定と繁栄に共に貢献できるはずだ」

「双方は共にインターネット大国だ。サイバー安全保障問題については、インターネット空間を摩擦の源ではなく、新しい協力分野にしていきたい」

――国際社会でテロ事件が頻発している。中国としてテロをどうたたき、テロ対策で国際社会とどう協力していくのか。

「テロは人類共通の脅威だ。中国は一貫して対テロの国際協力に積極的に参加している。テロ問題の根本的な解決はテロを生む土壌を取り除くことだ。経済社会を発展させ、地域の衝突に適切に対応し、異なる文明・宗教・民族などの対話を促さなければ、テロという亡霊を振り払うことはできない。中国もテロの被害者であり、過激派の現実的な脅威にさらされている。国際社会の各国と共に、新たな脅威や挑戦に対応していきたい」

――北朝鮮の指導者との会談はまだ実現していない。

「中朝は友好的な隣国だ。中朝の伝統的友誼(ゆうぎ)関係を非常に重視し、正常な発展に向けて力を尽くしている。中朝関係は強固な基盤があり、一時的なことの影響を受けることはない。両国の指導者がいつ会談するのかについては、さらに双方の都合を考えなければならない」

――中国政府が今年実施する抗日戦争勝利70周年の軍事パレードに安倍晋三首相を招待する考えはあるか。日本の少なからぬ国民が中国が歴史問題を利用して、日本のこれまでの平和への貢献の価値を落とそうとしているのではないかと考えている。

「我々は誰であろうと誠意を持って来る人は皆、歓迎する」

「今提起された歴史問題は、これまで日中関係をずっと悩ませてきた問題だ。それゆえに我々はこう問わざるを得ない、いったいその原因はどこにあるのか、と。古い中国の先輩外交官の主張を思い出す。加害者が責任を忘れないほどに、被害者の受けた傷も癒える可能性が生じる。これは人間同士の付き合いだけでなく、歴史問題に対する正しい態度だ。70年前に敗戦した日本が、70年後に再び良識を失ってはいけない。過去の負担を背負い続けるのか、それとも過去をバッサリと断ち切るのかは、最終的には日本の選択だ」

――インドのモディ首相が近く訪中するが、国境紛争問題の見通しは。

「鄧小平同志は以前、中印両国が発展しなければアジアの世紀は来ないと述べた。両国が手を携えて、竜(=中国)と象(=インド)が一緒に舞うことで、二大新興市場が繁栄し、より親しい関係になることができる」

「国境問題については、長年の努力を続けており、紛争はコントロールできている。中印協力をより発展させ、問題解決の原動力とする必要がある」

――中国が南シナ海の島々の周辺で埋め立て工事を進めているという報道がある。中国の南シナ海を巡る政策は、周辺国外交の方針に変化をもたらすか。

「中国が自分たちの島々で必要な建設を進めることはいかなる人に対することでもなく、いかなる人にも影響を与えない。一部の国のように他人の家に行って『違法建築』をしているわけでなく、自分たちの敷地内での工事について他人から指図される筋合いはない」

「中国は南シナ海の航行の自由を引き続き守っており、紛争は直接の対話と協議で平和的に解決することを目指している。隣国と仲良くし、隣国を安心させ、隣国を豊かにするという周辺国外交の理念は変わっておらず、今後も変わらない」

――習主席の大国外交の理念とは。

「重要な特色は『協力とウインウイン』だ。習主席が打ち出した協力とウインウイン関係を核心とする新型国際関係というのは、時代の潮流であり、国際関係理論の重要な革新と言える。1騎で戦う古いやり方、勝者総取りの古い考え方は捨て去られ、取って代わられるべきだ。中国は歴史上の大国とは異なり、平和的発展の道を歩んでいる。世界とともに協力とウインウインの新しい道を歩むつもりだ」

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