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米、エボラ熱の新薬実用化急ぐ 富士フイルムなど優先審査

【ワシントン=川合智之】米国防総省は西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱の新薬の実用化を加速させる。富士フイルムホールディングスなどが開発した新薬候補を巡り、米食品医薬品局(FDA)の優先審査対象とし、臨床試験(治験)から認可までの手続きを迅速に済ませることを検討する。現地で救援活動にあたった米国人らにも感染が広がり、1年以内の早期投入を目指す。

国防総省当局者は7日、「富士フイルムと協力する米メディベクター社(マサチューセッツ州)が、エボラ出血熱の薬をヒトに使うことを申請するためFDAと協議している」と述べた。「治験後の認可手続きは優先審査対象になりうる」とした。

手続きが順調に進めば、富士フイルムの薬はFDAが認可する最初のエボラ熱向け新薬の一つになりうるという。同省は開発支援に1億3850万ドル(約140億円)を助成している。

同省は他の新薬候補にも開発費を助成している。リベリアで感染した米国人医師ら2人には、同省が支援した創薬ベンチャー、マップ・バイオファーマシューティカル社(カリフォルニア州)が開発中の未承認薬「ZMapp」が投与された。

新薬「TKMエボラ」を開発しているカナダのテクミラ・ファーマシューティカルズ社は7日、臨床試験を差し止めていたFDAの措置が変更され、患者への部分的な利用が可能になったと発表した。米プロフェクタス・バイオサイエンシズ社(メリーランド州)もエボラ熱ワクチンの開発に取り組む。

新薬候補は動物実験で効果が確認された段階で、ヒトでの効果や安全性は確認されていない。実験結果が良好なら、FDAは優先審査の対象となるファストトラック指定を与え、認可手続きを早めることを検討する。

新薬実用化のメドについて、米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は7日、「数カ月から1年かかる」と下院外交委員会の公聴会で述べた。

エボラ熱は現状では有効な治療法がなく、致死率は最大90%と高い。エボラウイルスに感染してから通常1週間ほどで発熱や頭痛、下痢などの症状が出て、悪化すると全身からの出血や多臓器不全に至る。

世界保健機関(WHO)は6日、今回の大量感染で死者は932人になったと発表した。患者の隔離などで大量感染を防ぐ方法しかないのが実態だ。WHOは実験段階の未承認薬を投与するかの検討を始めた。感染者を帰国させたことで欧米ではエボラ熱への対応が切迫しているが、日本人の感染者は確認されていない。

富士フイルムは「メディベクターを通じてFDAと協議している」としている。エボラ熱の新薬候補となっているのは、同社がメディベクターと共同で米国で治験中のインフルエンザ薬「ファビピラビル」(一般名)。日本では今年3月、厚生労働省から製造販売承認を得た。「タミフル」などの既存のインフル薬と作用の仕組みが違い、既存薬が効果が出ない新型インフルが発生した場合に販売することになっている。

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