2018年6月19日(火)

ノーベル平和賞にコロンビア大統領 内戦終結に道

2016/10/7 23:03
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 【サンパウロ=宮本英威】ノルウェーのノーベル賞委員会は7日、2016年のノーベル平和賞を南米コロンビアのサントス大統領(65)に授与すると発表した。今年6月に左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)と停戦合意し、半世紀余り続いた内戦終結に向けて尽力したことを評価した。今月2日の国民投票では和平合意への反対が過半数に達し、合意は宙に浮いているが、同委員会は「すべての関係者に和平を促したい」として授与を決めた。

7日、ノーベル平和賞受賞が決まり、夫人とともにスピーチする南米コロンビアのサントス大統領(7日、ボゴタ)=AP

7日、ノーベル平和賞受賞が決まり、夫人とともにスピーチする南米コロンビアのサントス大統領(7日、ボゴタ)=AP

 ノーベル賞委員会は授賞理由を「50年に及ぶ内戦を終わらせるための努力を認めた」と説明し、今回の授賞が「希望を失わなかった国民や、内戦の数え切れない犠牲者にささげられた」と付け加えた。国民投票での和平合意否決は「和平交渉が中断し、内戦が再燃する恐れがある」とも指摘し「双方が停戦を尊重し続けることがより重要になる」と自制を求めた。

 サントス氏は7日、首都ボゴタの大統領府で演説し「全てのコロンビア人、特に内戦犠牲者の名の下で賞を受ける」と表明。「これ以上一人の死者も出さないため、永続的な平和をつくり始めなければならない」と訴えた。授賞式は12月10日にノルウェーのオスロで行われる。賞金は800万クローナ(約9600万円)。

 コロンビアでは1960年代から紛争が続いた。貧富の格差への不満から旧ソ連の影響を受けた農民らが64年に結成したのがFARCだ。麻薬組織と連携して勢力を拡大し、南米最大のゲリラとして国土の一部を実効支配する。テロや誘拐を繰り返し、紛争の犠牲者は22万人超といわれる。

 サントス氏は「紛争終結で国が安全になる。観光客が増え、雇用も生まれる」と和平への意気込みを示してきた。10年に大統領に就任し、12年9月にFARCとの和平交渉開始を発表。同年10月にノルウェーで交渉を始め、その後はキューバで断続的に協議を重ねた。

 交渉入りの背景にはFARCの弱体化がある。政府軍は00年前後から米国の協力を得て攻勢を強め、最盛期に2万人いた戦闘員は7千人程度まで減った。FARCのロンドニョ(通称ティモチェンコ)最高司令官も和平交渉を受け入れやすい状況で、今年6月に歴史的な停戦合意にこぎ着けた。9月26日には武装解除の手続きを定めた和平合意に双方が署名した。

 ただ和平合意は困難に直面する。今月2日の国民投票では、事前予測を覆して和平合意への反対が50.21%に達した。「罪を犯したゲリラが十分に処罰されない」との反発が強まったためだ。

 否決後、サントス氏は「任期の最後の日まで平和を希求する」と強調。5日には対ゲリラ強硬派のウリベ前大統領らと長時間協議するなど、妥協点を探る考えだ。

 有力紙ティエンポの政治担当の編集者で、かつてサントス氏の同僚だったエドルフォ・ペニャ氏(57)は「若い頃から紛争終結を終結させたいとの思いを口にしていた」と明かし、「歴史を刻もうとする強い意志は大統領就任時からぶれていない」と評する。和平達成に向けたサントス氏の指導力が問われる。

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