パナマ文書、なぜ波紋 経済格差に不満高まる(Q&A)

2016/4/8 3:30
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パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」が世界に波紋を広げている。アイスランドの首相が辞任に追い込まれるなど、名指しされた政治指導者への不満は高まるばかりだ。問題の背景や今後の焦点をまとめた。

Q 文書で指摘された政治家に批判が集まっているのはなぜか。

A 1つは道義的な責任の問題だ。財政の厳しい多くの国は税金を増やしたり福祉を削ったりして国民に重い負担を強いている。その裏で国を率いる政治家が税負担を軽くできるタックスヘイブン(租税回避地)を使っている実態が明るみに出た。経済格差が広がり不満をためこむ市民が改めて不公平感を覚えている。深刻な金融危機に陥ったアイスランドの首相辞任はその一例だ。

もう一つは、違法行為への疑念だ。タックスヘイブンに設けた会社でお金をやり取りをすること自体は合法だが、詳しい情報は外国当局からつかみにくいため、自国で本来負担すべき税金を納めない脱税に使われている可能性がある。資金洗浄や、北朝鮮など制裁を受けている国やテロ組織への資金提供にも悪用されやすい。

Q 法律事務所や銀行にも厳しい視線が注がれている。

A パナマ文書には、租税回避を手伝った欧米の有力銀行とのやり取りも含まれていた。多くの手数料が期待できる富裕層の資産運用を巡る顧客の争奪戦は激しく、「脱税に手を貸したのではないか」と疑う声も出ている。文書が流出したパナマの法律事務所は「違法行為には手を貸していない」と反論している。

Q パナマなどタックスヘイブンの小国は法人税所得税収入をあてにしていない。収入源は何か。

A 政府は、会社設立などの手続きに関わる手数料収入を見込める。設立手続きを手伝う法律事務所もお金を稼げる。弁護士や会計士、税理士など世界の法律に詳しい専門家の働き口を生み出せる利点もある。資源に乏しい小国にとっては大きな"産業"になる。パナマの場合、運河の通航料も大きな収入だ。

Q 日本への影響は。

A 大手企業の創業者など日本人の資産家も名を連ねているが、今のところ日本の政治家の名前は挙がっていない。

Q 米国で企業の節税を防ぐ新たな規制が決まり、米ファイザーが合併を取りやめた。パナマ文書問題との関連は。

A 節税目的で税金が安い国を目指す点は同じだ。ただ米国のケースでは主体が企業で、本社を移す動き自体は秘密でもなく、法律の範囲内だ。とはいえ、国際ネットワークや高度な専門家を駆使できる権力者や富裕層、大企業が「得している」と市民が不満を感じることに変わりはない。

Q 今後の影響の広がりは。

A 流出した文書は法律事務所の顧客約1万4000人の1000万件超と膨大だ。調査報道によって新たな事実が浮上する可能性がある。震源地のパナマで政府が実態解明に乗り出すなど各国で当局による調査も始まった。波紋は当面収まりそうにない。

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