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イラン国会など銃撃、死者12人に 「イスラム国」犯行声明

【ドバイ=岐部秀光】イランの首都テヘランにある国会議事堂と首都郊外の故ホメイニ師の墓廟(ぼびょう)で7日午前ほぼ同時刻、それぞれ別の武装組織が自動小銃などで市民らを攻撃した。国営テレビによると少なくとも12人が死亡、42人が負傷した。イラン政府はテロと断定。宗派対立を先鋭化させる狙いもあるとみられ、中東各地の紛争が一段と混迷を深める可能性がある。

イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」(IS)は自身が運営する「アマク通信」を通じて犯行声明を出した。シーア派を国教とするイランでISが実行した初のテロとみられる。

ISは欧州などのテロで事後に「ISの戦士が実行した」と、追認型の犯行声明を出してきた。今回は国会襲撃時に撮影したと称する動画を公開し、組織的な攻撃だったと主張しているようだ。

イランの通信社によると国会議事堂では武装した4人が押し入って銃を乱射。うち1人が自爆ベルトを起動した。1人は自爆前に治安部隊に射殺された。治安部隊は、人質を取って立てこもった残る2人を銃撃戦の末に殺害した。事件の一報から5時間が経過し、イランの通信社は議事堂が制圧されたと伝えた。

ホメイニ廟でも武装した4人が銃を乱射。1人が自爆し、1人は治安部隊に射殺された。残る2人は現場で逮捕された。

イラン政府は緊急の治安会議を開いた。イラン情報省は第3のテロ計画もあったが、未然に防いだと発表した。標的などは明らかにしていない。

1979年のイラン革命を指導したホメイニ師の墓廟と国会は国の象徴ともいえる重要な施設で、政府だけでなく市民も衝撃を受けている。

ISはアルカイダなど他の過激組織と比べ、シーア派を深く憎悪しているのが特徴。イラクなどで同派モスクを繰り返し狙ってきた。だが、イランは革命防衛隊など強力な治安組織が存在する国内でISのテロを許したことはなかった。

今回のテロには、各地のスンニ派とシーア派で相互の憎悪を高める狙いがうかがえる。イラクやシリアの対IS掃討作戦は、イランが支援するシーア派民兵が介入し、すでに「宗派戦争」の色彩が濃くなってきた。イエメンの内戦も同様だ。

IS支配から解放されたイラクの一部の町ではシーア派民兵がスンニ派住民に報復する例が伝えられた。イラクのIS最大拠点モスルは政府軍による奪還が間近だが、宗派対立で作戦の実行やその後の治安維持が難しくなる可能性がある。

核合意によって制裁が解除されたイランは、治安の良さを売りにして外国企業を誘致しようとしてきた。経済の打撃は大きく、治安対策の強化に動くのは確実だ。

5月にサウジを訪問したトランプ米大統領は、対テロでの結束とイラン包囲網の強化を打ち出した。しかし、イランは「世界でテロを引き起こしているのはスンニ派の過激組織」と反発。国内の安定を脅かされた現在、保守強硬派が矛先をサウジなどアラブ諸国に向ける可能性がある。イランとサウジの和解は一段と難しくなる。

強硬派を支持する革命防衛隊などの発言力が高まれば、5月の大統領選挙で再選したロウハニ大統領は社会の自由化や開放を進めにくくなる。

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