2019年2月24日(日)

欧州、広がる極右支持 テロ不安取り込む
仏地方選で躍進

2015/12/8 0:48
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【パリ=竹内康雄】6日に実施されたフランスの地域圏議会選挙の第1回投票で、極右政党の国民戦線(FN)が躍進した。11月13日のパリ同時テロ後、有権者が抱く治安への不安を巧みに吸い上げた。難民の排斥など極端な主張を掲げる政党はフランス以外でも支持を集めており、テロをきっかけに極右の影が欧州全土に広がっている。

仏内務省によると、全国の得票率はFNが28%、サルコジ前大統領率いる共和党を中心とする右派グループが27%、オランド大統領が所属する社会党が23%だった。有権者の50%が投票を棄権した。FNは全13の選挙区のうち6つでトップに立った。右派グループは4つ、社会党は3つの選挙区で首位だった。

地域圏議会選はフランスで最も大きい単位の自治体の議員を比例代表方式で選ぶ。6日の第1回投票で10%以上の票を得た政党が13日の第2回投票に進み、トップとなった党が議長職を得る。

第2回投票があるため、現時点でFNの獲得議席数が決まったわけではないが、FNのルペン党首は投票締め切り後の記者会見で「FNはフランスの最大の勢力になった」と胸を張った。FNが複数の地域圏で初めて単独与党となるのが現実味を帯びている。

FNはテロを機に「難民にテロリストが混じっている」として難民受け入れの即時停止や国境の警備や出入国管理の強化を訴え、テロの恐怖が残る有権者の支持を引き付けてきた。一方、従来の主張であるユーロ圏離脱は「国民投票で決める」(ルペン党首)と後退させ、ソフト路線で右派の取り込みを図る。

既存政党は危機感を強めるが、足並みはなかなかそろわない。サルコジ前大統領率いる共和党は7日開いた対策会議で、第2回投票の対応を協議し、社会党と選挙協力はしない方針を決めた。

一方、社会党は複数の選挙区で第2回投票への進出を断念した。共和党など右派勢力を実質的に支援し、FNの伸長を阻止するためだ。カンバデリス第1書記は「FNの勢いを止めなければならない」と訴えた。

それでもルペン党首とめいのマリオン・マレシャル・ルペン氏が立候補した北部と南東部の選挙区はFNの得票率が40%を超え、右派と左派が共闘してもFNを抑えられるかは微妙な情勢だ。議会選は17年の大統領選前の最後の大型選挙。社会党の有力議員グラバニ氏はAFP通信に「ルペン大統領誕生は幻想ではなくなった」と語った。

バルス首相は投票前、「右派や左派の有権者は責任を果たす必要がある」と述べ、FNに投票しないよう呼びかけてきた。反難民や反ユーロを主張するFNは、寛容な精神で移民を受け入れ、欧州統合を進めてきたフランスの伝統的価値観を破壊する存在といえる。

ただ、バルス氏自身も欧州メディアに「これ以上、欧州に難民を受け入れられない」と述べるなど、世論を意識せざるを得ない状況にある。

欧州では反難民の動きが広がっている。10月にポーランドで保守系の最大野党が圧勝し、政権交代が起きた。11月にはクロアチアでも難民受け入れに慎重な最大野党が第1党になった。

極右台頭への警戒感から、欧州各国の首脳らからは過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)への強硬発言も増えている。世論が極右になびかないようにするためにも、弱腰はみせられない。首脳らの発言はより過激になる傾向が強まっている。

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