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トルコ 「反大統領」再び 野党デモ行進、2万人規模

【イスタンブール=佐野彰洋】軍の一部によるクーデター未遂事件発生から1年を迎えるトルコで、強権弾圧を続けるエルドアン大統領に反発する動きが再び熱を帯びてきた。最大野党・共和人民党(CHP)が始めたデモ行進は幅広い層を巻き込み膨らんでいる。外交面でも欧州議会がトルコの欧州連合(EU)加盟交渉停止を求めるなど「個人支配」に突き進むエルドアン氏への圧力を強めている。

「我々の使命は(不公正な司法の)壁を乗り越えることだ」。CHPのクルチダルオール党首は6月15日、首都アンカラから最大都市イスタンブールへの「正義の行進」を開始した。きっかけは同僚議員がスパイ罪で禁錮25年の実刑判決を受けたことへの抗議だったが、行進は一議員の問題を超えて広がっている。

地元メディアによると、当初2千人規模だった行進は400キロメートル以上離れたイスタンブールへと近づくに連れて規模を拡大し2万人規模に膨らんだ。

CHPは政党の旗を用いず「正義」の実現に運動の焦点を絞った。この戦略が奏功、政権寄りの恣意的な捜査や判決の横行に不満を持つ保守層や少数民族クルド人らCHP支持層以外の市民の結集にもつながった。

行進を終える9日にはイスタンブールで数十万~100万人規模の政治集会が計画されている。イスタンブール都心の再開発計画が全国規模の反政府運動に発展した2013年以来の規模で事実上の「反エルドアン」集会となる可能性もある。

昨年7月15日のクーデター未遂事件後、エルドアン政権は非常事態宣言を発令し強権統治を加速させてきた。逮捕者は約5万人、解雇・停職処分を受けた公務員や軍人は約15万人に上る。裁判官と検察官の4人に1人が職を追われた。

今年4月には非常事態宣言を維持したまま、大統領権限集中の改憲の是非を問う国民投票を実施。僅差で承認に持ち込んだものの、地盤としてきたイスタンブールやアンカラでは反対が賛成を上回った。19年の大統領選で再選を狙うエルドアン氏にとって都市の保守層離反は悩みの種だ。

クーデター未遂事件から1年を迎え、「民主主義の勝利」を祝う一連の記念行事で支持を固めようとした時期に膨らんだ抗議活動にエルドアン氏はいら立つ。「分離勢力やクーデター勢力も参加している」。エルドアン氏や閣僚は行進がテロ支援に当たるとの非難を相次ぎ発している。

海外からの風当たりも強い。トルコの人権状況を批判してきた欧州議会は6日、大統領が国家元首と行政の長を兼ね、強大な権限を握る改憲内容を問題視、加盟交渉の停止を求める決議を採択した。

ドイツは、20カ国・地域(G20)首脳会議に参加するエルドアン氏がトルコ系住民向けに政治集会を開催することを拒否した。エルドアン氏に批判的な国内世論に配慮する一方、トルコ国内の民族対立が持ち込まれることを警戒した。

ドイツ政府はこれに先立ち、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦に参加するためトルコ国内に駐留する空軍部隊の撤収も決めた。トルコが独議員団の基地訪問を拒んだことが理由で、北大西洋条約機構(NATO)同盟国から部隊を引き揚げる異例の事態となっている。

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