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ウクライナと8日首脳協議 独仏ロ、すれ違う思惑

【ベルリン=赤川省吾、モスクワ=石川陽平】独仏ロとウクライナの4首脳は8日、電話協議でウクライナの和平交渉に臨む。停戦に向けた機運は高まっているが、ほぼ1年にわたって戦闘を繰り広げてきた政府軍と親ロ派武装勢力は停戦ラインをどこに引くのかで思惑がすれ違う。ウクライナ軍を軍事支援するかで欧米も一枚岩ではなく、関係者の駆け引きが続く。

4首脳の電話協議は独仏ロの首脳が6日、モスクワで会談し合意した。

「これが最後のチャンス」。フランスに戻ったオランド仏大統領は7日、記者団の前で、そんな言葉を口にして交渉に望みを託した。「軍事作戦では事態は解決しない」。メルケル首相も、話し合いでの和平実現に強い意欲を示した。

今年に入って東部ウクライナで戦火が激しくなった。「欧州の門前で戦争が起きる恐れがある」(オランド大統領)との危機感を募らせる独仏は根回しに余念がない。

舞台のひとつはドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議だ。米独仏ロ、それにウクライナの閣僚らが参加している。会場となったホテルはスイートルームに大量の椅子を運び込んで即席の会議室に改装。関係者がひそかに交渉できるようにしたとされる。

シュタインマイヤー独外相はケリー米国務長官らと会談。ファビウス仏外相らとともに停戦合意のお膳立てに動いた。

合意が実効性を持たないと和平交渉は成功したとは言えない。昨年9月に関係者は停戦合意(ミンスク合意)したものの、順守されなかった。このため親ロ派武装勢力と、その「後ろ盾」となってきたロシアの説得が今回も成否のカギを握る。

欧米の対ロ制裁と原油価格の低下で経済が疲弊するロシアも、戦闘の泥沼化は避けたいというのが本音。ラブロフ外相は「(事態を)楽観視している」と言い切った。

東部ウクライナで攻勢をかけてきた親ロ派も軟化の兆しが見える。同派幹部は7日、4首脳の会談後に、直ちにウクライナ政府との直接協議に入りたい意向を示した。

だが、戦闘を終えたいということでは一致しても、その条件となると思惑がすれ違う。今年に入って大規模な攻勢をかけた親ロ派は支配地域を拡大中。それをウクライナ側に返還するように求めれば、交渉は難航する。

親ロ派幹部のデニス・プシリン氏は7日、インタファクス通信に「ウクライナ政府による戦闘停止が最も重要だ」と指摘。支配地域の独立状態を今後も維持したいとの考えをにじませた。

ウクライナが親ロ派地域に高度な自治権を与える「連邦制」に移行するかも焦点。実現すればロシアはウクライナ政府の外交政策に介入し、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻む構えだ。もちろん欧米やウクライナは反対だ。

不信感を募らせるポロシェンコ大統領は7日「防衛的な武器がいる」と欧米に軍事支援を求めた。「要請があれば協力する」。同じようにロシアの脅威にさらされるリトアニアの国防相はこう応じ、バイデン米副大統領も「自国を防衛する権利がある」とお墨付きを与えた。

「和平交渉の行方はわからない」。メルケル首相は慎重だが、交渉が決裂すれば、米ロの代理戦争に発展しかねない危うさがある。

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