エボラ未承認薬、米が2人に試験投与 課題なお多く

2014/8/7付
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【ワシントン=川合智之】西アフリカで過去最大規模の感染が広がっているエボラ出血熱で、未承認薬による治療が始まった。リベリアで救援活動をしていた米国人2人が感染し、実験的に新薬が投与されたという。ただ爆発的に広がる感染者に対し、十分な量の新薬は確保できていない。世界保健機関(WHO)も新薬の活用の検討に入ったが、安全性や薬の分配方法など課題は多い。

米メディアによるとエボラ熱に感染したのは、リベリアで患者の治療にあたっていた米国人の男性医師と支援団体メンバーの女性。2人は「ZMapp」と呼ぶ未承認薬の投与を現地で受け、特別機で米国に戻った。

ZMappは米カリフォルニア州の創薬ベンチャー企業が開発した新薬で、タバコの葉でつくられた3つの抗体を含む。サルの動物実験で効果はあったが、ヒトに対する効果や安全性は確認されていない。現在は薬も少量しかないという。

2人は米ジョージア州の大学病院の隔離病棟で治療を受け、体調は回復傾向にあるという。ただ未承認薬の効果があったかどうかは不明だ。

ZMappの実験を手がける米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・フォーシ所長は「9月にボランティアを募り臨床試験を始める予定だ。結果が良好なら来年1月にも生産に入れる」と米CBSのテレビ番組で語った。

WHOも未承認薬の活用を検討し始めた。6日、新薬使用の是非を検討する医療倫理の専門家会合を来週初めに開催すると発表した。薬をどう分配して誰に投与すべきかなどを検討する。

WHOによると4日時点のエボラ熱による死者は932人に上る。感染地域は西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国が中心だ。

WHOは今回の大量感染が国際保健規則に基づく公衆衛生上の緊急事態にあたるかどうか判断するため、6日から緊急委員会を開いており、8日に結果を公表する。

エボラ熱はエボラウイルスによる感染症。潜伏期間は通常8~10日で、発熱や頭痛、下痢などの症状が出た後、全身からの出血や多臓器不全に至る。致死率は40~90%と高い。コウモリなどの野生生物との接触で伝染が始まったとされ、患者の体液に触れると人から人に感染する。空気感染はしない。

米ワシントンにアフリカ50カ国の首脳を招いたアフリカ首脳会議でも、感染地域からの出席者を検査するなど厳戒態勢が敷かれた。オバマ米大統領は「過去に見たことのない挑戦的な大量感染だ」と述べ、米疾病対策センター(CDC)の感染予防の専門家を派遣するなど対策にあたる。

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