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タイ新憲法ようやく施行 修正経て国王の権限強く

【バンコク=小谷洋司】2014年から軍事政権が続くタイで6日、ワチラロンコン新国王の署名を経て新憲法が公布・施行された。16年8月の国民投票を通った憲法案に比べ国王の権限を強めたと解釈できる条文を含む。民政復帰に向けた節目をようやく越え、脱軍政へ一歩前進した。ただ総選挙は18年後半にずれ込む可能性もある。

同日午後、バンコクの宮殿でプラユット暫定首相ら閣僚や各国大使らを前に、新国王が署名した。「タイ国民が平和と統合の下、この憲法に従い、この憲法を保護することを願う」。新国王の声明も読み上げられた。

タイでは軍事クーデターと憲法の廃止・制定が繰り返され、新憲法は1932年の立憲君主制移行後で実に20番目。07年施行の旧憲法は14年5月のクーデター後廃止され、軍主導でまとめた暫定憲法が使われてきた。

憲法制定作業は遅れに遅れた。軍政は当初15年中の総選挙実施を掲げた。だが最初の草案は軍政指名の評議会に否決され、作業は振り出しに。新草案の完成は目標期日後の16年3月だった。

新草案が非民主的との批判を受けながらも国民投票を通り、新国王の署名を待っていた今年1月、異例の事態が起きた。新国王が修正を求め、政府に憲法案を差し戻したのだ。主権者の国民が承認した憲法案の修正は軍政にも想定外だったとみられる。

修正により国王が摂政を置かずに海外に出られるようになった。新国王は皇太子時代から息子が住むドイツを頻繁に訪れてきた。憲法に明文規定がない問題への対処を憲法裁判所長官らの合議体の判断に委ねる条文は削除。ある法律専門家は「判断は国王次第になった」といい、国王権限が事実上強まったとみる。

今後は総選挙に不可欠な政党法などの制定作業に移る。軍政は総選挙の時期を明言していないが、プラユット氏は6日夜のテレビ演説で選挙まで最長19カ月との見通しを示した。軍政はプミポン前国王の国葬と新国王の戴冠式の時期もにらみながら選挙日程を詰めることになる。

現政権は18年9月で発足からまる4年。00年以降ではタクシン政権に次ぐ長期政権となる。一般国民や日系企業を含む投資家の間では、国を二分するタクシン派と反対派の政治対立を抑え込み、治安を安定させた軍政を評価する声は根強い。

軍政は憲法施行後も政治集会の禁止などで言論統制を続ける方針。反軍政のタクシン派などは抵抗するが、政治活動や言論の自由が復活するのはしばらく先になる。

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