2019年4月23日(火)

インドネシア、協調減産のOPEC離脱 原油高を警戒

2016/12/27 11:07
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【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアは石油輸出国機構(OPEC)からの一時離脱を決めた。2015年末に復帰してから1年で再び退場した。インドネシアは原油輸入が輸出を上回る「純輸入国」。ほかの産油国と違い、協調減産で原油価格が上昇すれば輸入で賄うガソリン代が上がって物価高を招く。社会の混乱にもつながりかねずジョコ政権は離脱を選んだ。

OPECは11月30日の総会で8年ぶりの協調減産を決めた。10月の生産量から加盟国全体で約120万バレルを減らす方針で、17年1月から実施する。インドネシアはこの方針に反発し、一時離脱を宣言した。ジョナン・エネルギー・鉱物資源相は声明で「減産はインドネシアに利益をもたらさない」と述べた。

インドネシアはかつて東洋一の産油国といわれたが、資源の枯渇や油田への投資不足で生産量は徐々に減少した。他方で経済成長によりガソリンなどの消費が伸び続け、04年には輸入が輸出を上回った。

同国は15年12月に約7年ぶりにOPECに復帰したが「長期契約で安く原油を買うための情報収集」(政府高官)が目的だった。今年8月に国有石油プルタミナがイランの油田開発に参画する覚書をイラン国営石油と結ぶなど一定の成果は出た。ただ協調減産にはもともと否定的だった。

一時離脱の表向きの理由は財政への影響だ。慢性的な税収不足に悩むインドネシア政府は、協調減産に付き合って税収が減ることを避けたいからだ。ジョコ大統領は「財政改善が重要なのでOPECからの離脱はやむを得ない」と述べた。

しかし、同国の歳入に占める石油・ガスからの直接の収入は3%強(17年度予算)にすぎない。価格上昇も加味すれば生産量(日量約70万バレル)の5%程度の日量3万7千バレルの削減が財政に深刻な打撃を与えるとは考えにくい。

インドネシアにとって深刻なのは原油高によるガソリンなど石油製品価格の上昇だ。物価が高騰し、消費が落ち込み成長率を押し下げるからだ。

ジョコ政権は14年末にレギュラーガソリン価格を低く抑えるために政府が負担していた補助金を撤廃、余った資金をインフラ開発に回した。補助金撤廃直後の14年12月の消費者物価指数は13年12月と比べ8.36%も上昇し、経済減速の要因となった。

その後は原油価格が下落し、物価上昇率は3.58%(11月)と中央銀行の目標の3~5%の範囲内に収まるが、原油価格が高騰すると再び目標の上限を突破して経済にブレーキをかけかねない。

マンディリ証券のチーフエコノミスト、リナルディ氏は「世界経済は不透明感が残り原油価格の上昇が続くとは限らない」としたうえで「仮に原油価格が1バレル60ドル以上で定着した場合、ガソリン価格が上がってインフレ率が急上昇し景気に悪影響を与える」と話す。

一方、ガソリン代の値上げを見送り補助金を復活させればただでさえ遅れ気味のインフラ開発が停滞する。政権内ではプルタミナの利益を削って小売価格を下げさせる案も出るが、経営に影響が出れば結局、国の負担が発生する。ジョコ政権はガソリンの急激な価格上昇を抑えつつ、財政に影響を与えない方策を探るという難しいかじ取りを迫られる。

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