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拡張スエズ運河が開通 エジプト、通航料収入増見込む

(更新)

【カイロ=押野真也】エジプト政府は6日、スエズ運河の一部を拡張した「新運河」の開通式典を開催した。通航料の増加による国家収入の拡大を見込む。政情不安から観光業が低迷し経済再生が課題のシシ政権にとっては国威発揚の狙いもある。ただ、周辺で過激派組織「イスラム国」(IS)の影響力も強まるなか、船舶が新たな標的になる可能性もあり、エジプト政府による治安維持が求められる。

スエズ運河は全長約190キロメートルで、地中海と紅海とを結ぶ海運の要衝だ。今回、エジプト政府は全体のうち72キロメートルの部分を拡張したり、水深を深く掘り下げた。一部は運河を新設し、大型タンカーが双方向で通航できるようにし通航時間の短縮を実現する。

6日の記念式典には、120カ国・機関から約800人の要人が参加。エジプトのシシ大統領は軍服姿で会場に入った。冒頭のあいさつでは「新運河はエジプトが発展する一歩だ」と強調し、治安情勢について「直面するテロの脅威を打倒していく」などと述べた。

エジプト政府は一連の運河の拡張工事で、2023年までに1日平均の通航船舶数が現在の49隻から97隻に増えると試算。より大型のタンカーも通航できるようになる。これに伴い年間の通航料収入はこれまでの約2.5倍にあたる132億ドル(約1兆6400億円)に大幅に増えると見込んでいる。

11年から相次いだ政変に伴う治安の悪化で主力の観光業は低迷する。運河拡張を国家の威信をかけた大型プロジェクトと位置づけるエジプト政府は独自の資金による建設にこだわり、自国民のみが購入できる独自の債券を発行して85億ドルの建設費用を賄った。

この債券は10エジプト・ポンド(約160円)から購入でき、利回りが12%ということもあり多くの人が購入している。1000エジプト・ポンド分の債券を購入した40代の男性は「(購入で)エジプトの国家再建に貢献したかった」と誇らしげに話す。

ただ、政府の思惑通りに通航量と収入が拡大するかは不透明だ。現在、運河や航路を巡る国際的な競争が激化している。北極海航路が存在感を強めているほか、パナマ運河の拡張やニカラグアも新運河の建設に乗り出しているからだ。

今後の課題は治安維持だ。エジプト軍は「スエズ運河の治安は100%維持できる」と述べているが、紅海の出入り口に当たる地域には政情が揺れるイエメンとソマリアが位置している。

エジプト国内ではISなど過激派の影響力が強まっている。最近では首都カイロで自動車爆弾テロが連続して起きたほか、仏企業に勤めるクロアチア人がカイロで誘拐され、殺害を予告するビデオも配信された。

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