2019年2月22日(金)

グテレス次期国連事務総長、難民危機などへの手腕期待

2016/10/7 0:00
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【ニューヨーク=高橋里奈】国連の次期事務総長にポルトガル元首相のアントニオ・グテレス氏(67)が選ばれることが内定した。国連外交の場では女性や東欧出身者を推す機運もあったが、グテレス氏が実務能力の高さを評価され、国連トップのイスを射止めた。国際社会は国連難民高等弁務官も務めた同氏に、深刻化するシリア情勢など難民危機への対応の手腕を期待する。

安全保障理事会議長国のロシアのチュルキン大使は6日、「最良の候補ですばらしい選択だった」と記者団に語った。

難民問題や北朝鮮の核問題など、国連が対処すべき課題は山積している。しかし紛争解決から事務総長の選定に至るまで安保理が強大な権限を持っていることに、多くの加盟国の不満は高まっていた。このため今年は国連史上初めて国連総会の議場で候補者の公開討論が実現。候補者の所信表明や受け答えなどが安保理での人選に影響したとみられている。

多くの外交官が押し寄せた公開討論でグテレス氏は「断トツの受け答えと安定感だった」(国連外交筋)との評判を確立。一国の首相としての経歴と、国連組織のトップとしての経験にも裏打ちされており、米国のパワー国連大使は「とても納得がいく議論の余地がない候補だ」と語った。

シリア内戦などを巡り安保理内で米ロなどの対立が深刻化する中、事前予想を覆してグテレス氏が安保理で圧倒的な支持を集めた背景には、国連の機能強化に向けた「強いリーダーシップ」への期待があったようだ。

2005年から15年まで約10年間、国連難民高等弁務官として難民支援の最前線で指揮を執る中、グテレス氏は「受け入れ国への財政支援を含め、責任や負担を(国際社会で)分かち合うことがより重要だ」と訴えてきた。移民問題については「各国はこの問題に敏感だが、私はより効率的な協力を訴えていく」と語っている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の行財政改革も断行した。大幅なコスト削減の実績も「国連トップにふさわしい資質」(国連外交筋)と評価されている。母国ポルトガルで社会党の書記長や首相を歴任。「貧困との闘い」という同氏の政治信条は世界の貧困撲滅を目指す国連の理念にも重なっている。

女性候補を推した英国のライクロフト大使も「多くの女性候補が出たことはうれしいが、グテレス氏は傑出した候補だった」と明言。中国の劉結一大使も「良い結果だ」と歓迎した。

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