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アイスランド首相辞任、憤る国民 資産隠し疑惑

(更新)

【ロンドン=小滝麻理子】パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)関連文書で、資産隠し疑惑が指摘されたアイスランドのグンロイグソン首相が5日、辞任に追い込まれた。金融危機で破綻した大手銀行に投資していたことがわかり、国民から「利益相反」との怒りの声が噴出した。多くの政治家らの名前が挙がった「パナマ文書」をめぐり、一国の首脳が責任を取るのは初めてだ。

パナマ文書が暴露された翌日の4日、野党4党は首相の不信任決議案を議会に提出した。同日中に全人口の7%にあたる約2万2千人が首都レイキャビクの議会前で史上最大規模のデモを行い、「財産隠しだ」と憤りをあらわにした。

当初、グンロイグソン首相は取引に違法性はないとして辞任を否定した。5日夕に首相府は同首相に代わり、進歩党副党首のヨハンソン漁業・農業相に当面首相の座を譲ると表明、事実上の辞任と受け止められた。だが辞任だけでは不十分とする大規模デモが再び起き、事態は収束していない。

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が検証した内部文書によると、グンロイグソン首相は金融危機前の2007年に、妻と共有名義で英領バージン諸島に会社「ウィントリス」を設立。同社を通じてアイスランドの大手3銀行の社債に計5億クローナ(約4億5千万円)を投資していた。同首相は国会議員に選出された09年中に持ち分のすべてを1ドルで妻に譲渡したが、投資の事実は一切申告していなかった。

世界的な金融危機でアイスランド経済は国家破綻状態となり、グンロイグソン首相が投資していた3行も破綻した。同氏は破綻した銀行の経営責任を追及し、家計部門の債務を免除することなどを公約して13年の総選挙で勝利し、首相に就いた。妻名義の会社の存在は伏せられたままで、政府のトップとして公平な銀行監督を行っていたのか国民の不信は高まった。

通貨クローナの切り下げ効果などで主力の漁業輸出が堅調で、アイスランド経済は金融危機から回復した。だが、急激な資本流出を防ぐための資本規制は続いており、国民には金融危機を招いた既存政治への不信は根強い。直近の世論調査では政治の透明性を求める海賊党が、進歩党と独立党の連立与党を上回る支持を得ている。野党は解散総選挙を強く求めており、政局は流動的だ。

亡父の関与を指摘された英国のキャメロン首相も5日、「自分は株やオフショアのファンドは持っていない」と釈明に追われた。だが、野党労働党は実態を厳しく追及する構えで政治不信が各国で広がる恐れがある。

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