経営トップと従業員の給与差、米企業に開示義務付け
SEC
【ニューヨーク=山下晃】米証券取引委員会(SEC)は5日、米企業に経営トップの報酬と一般従業員の平均給与の差を開示させる規則を正式に承認した。米企業は2017年分から開示が義務付けられる。08年の金融危機の反省から制定された金融改革法(ドッド・フランク法)で格差を開示することが決まり、導入議論を進めていた。
新規則は最高経営責任者(CEO)の報酬と従業員の平均給与と、その差を開示することを義務付ける。金融危機を招いた要因の一つとして経営者が高水準の報酬を得るために過度なリスクを取ったとの批判に対応する動きだ。
米シンクタンクのエコノミック・ポリシー・インスティチュートによると、米国での報酬格差はおよそ300倍という。金融危機前の350倍からは縮小したが、数十倍程度とされる日本に比べて差は格段に大きい。
米コンサルティング会社のタワーズワトソンによると米主要企業CEOの報酬総額は14年に前年比で12%増えた。米株高が背景にある。ウォール街の主要金融機関の経営トップらも業績回復を背景に2000万ドル(約25億円)を超える報酬を受け取った。
タワーズワトソンのスティーブン・シーリグ氏は今回の開示規則の決定について「報酬がどのように決まるかという仕組みの透明性を高めることを企業に促す」と言う。