2019年2月19日(火)

スー・チー外相始動、中国外相と会談 経済協力を議論

2016/4/5 23:21
保存
共有
印刷
その他

【ヤンゴン=松井基一】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー外相は5日、首都ネピドーで中国の王毅外相と会談した。3月末の就任後、外国閣僚との会談は初めてで、外交活動を始動した。中国はエネルギー安全保障上の要衝で、自国企業の投資も活発なミャンマーとの関係強化を狙う。スー・チー氏が実質的に主導するミャンマー新政権の中国重視の姿勢も明確になった。

会談後の共同記者会見でスー・チー氏は「我々は隣国であり、平和と発展のため協力が必要だ」と強調。王外相は今回の訪問が「スー・チー氏からの招待」であることを明かしたうえで「政権が交代しても両国の永続的友好関係は変わらない。農業やインフラ分野の経済協力を進める」と応じた。王外相は6日までミャンマーに滞在し、ティン・チョー大統領とも会談する予定だ。

軍事政権時代、国際的孤立を深めたミャンマーに中国は接近。2000年代以降、中国国境に近い北部で中国電力投資集団(CPI)によるミッソンダム建設など、中国資本の大型開発が相次いだ。15年にはインド洋に面した西部ラカイン州と中国内陸部とを結ぶパイプラインも完成。現在、中国の年間輸入量の1割に相当する石油が運ばれており、中国のエネルギー安全保障にとっても、ミャンマーとの関係は重要性を増している。

一方、11年の民主化後に発足したテイン・セイン政権は欧米との関係改善を進める一方、「脱・中国依存」を志向。環境破壊や中国側に有利な契約内容が国民の反発を招いていたミッソンダムの建設を一時凍結するなどした。今回の王外相の訪問には、前政権下で低下したミャンマーへの影響力を再び高め、中国企業のプロジェクト再開も後押しする狙いもある。

外相として最初の会談相手に王外相を選んだ、スー・チー氏の中国重視の姿勢も鮮明になった。スー・チー氏は長く民主化運動を支援してきた欧米諸国への親近感が強いとみられていたが、昨年6月には中国を初訪問。習近平・国家主席とも会談している。同11月の総選挙後には各国外交団の中で真っ先に中国大使と面談の機会を持つなど、中国との友好関係構築に最大限、配慮している。

ミャンマーにとって中国は最大の貿易相手国であり投資国。軍政時代の停滞で遅れているインフラ整備にもアジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導する中国の支援は重要だ。今回の会談からは中国の影響力を冷静に分析する、現実主義的な政治家としてのスー・チー氏の判断が垣間見える。記者会見でミッソンダムについて問われたスー・チー氏は「個別案件は議論しなかった。(ダムに関する両国間の)協定も読んでいない」と回答を避けた。

一方、南シナ海で中国との領土紛争を抱える東南アジア諸国連合(ASEAN)はミャンマーの対中接近に神経をとがらせる。中国とASEANへの影響力を競う米国もミャンマーを重視。日本政府も岸田文雄外相の早期のミャンマー訪問を検討しており、新たな経済支援で関係をてこ入れしたい考えだ。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報