米雇用堅調、利上げに追い風 25.5万人増

2016/8/6 1:12
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【ワシントン=河浪武史】米労働省が5日発表した7月の雇用統計は、就業者が25万5千人増え、労働市場の堅調さを裏付けた。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げシナリオには追い風となるが、設備投資の低迷など企業部門の回復が課題となる。

米雇用統計は乱高下が続いてきた。5月の増加幅は2万人強と急減速。6月は再び29万人強と急回復した。FRBは「指標の乱高下は一時的な異常値の可能性がある」(イエレン議長)と見極めに苦慮した。7月の増加幅が好調の目安とされる20万人を上回り、底堅い回復ペースを確認した。

雇用統計の中で先行的な指標とされる「派遣社員らの一時雇用」は6月と7月に約2万人増えた。米国の実質経済成長率は3四半期連続で巡航速度の年率2%を下回るが、個人消費は4~6月期に4%台の高い伸びとなった。内需の底堅さがサービス業の雇用を押し上げる好循環が続く。

雇用の回復はFRBの利上げシナリオに追い風となる。FRBは6月時点で年内2回の追加利上げを中心シナリオと想定してきた。ただ、その後に英国が欧州連合(EU)からの離脱を決め、市場は「利上げはせいぜい年1回。来年に持ち越す可能性もある」とみる。

FRB内には「年内の利上げを除外するのは早計だ」(ニューヨーク連銀のダドリー総裁)との声があるものの、年内2回は困難との認識が強まりつつある。9月、11月、12月の年内3回の米連邦公開市場委員会(FOMC)のどこで利上げを判断できるかが焦点。企業部門の回復が重要な判断材料になりそうだ。

米経済はリーマン危機後の2009年7月から景気回復局面に入り、7年間も拡大が続いてきた。ただ、企業部門は資源安や英国問題などで設備投資が3四半期連続で前期比マイナス。企業の投資意欲が下振れするなかで利上げに踏み切れば、7年の景気回復が腰折れしかねない。

設備投資の低迷は生産性の低下につながり「米経済の(実力を示す)潜在成長率を押し下げるリスクがある」(イエレン氏)。足元の景気回復は戦後4番目の長さとなったが、平均成長率はわずか2%と戦後の回復局面では最低だ。物価上昇率も1.6%と過熱感はない。利上げ判断は慎重に進めざるを得ない。

11月の大統領選も利上げ判断の重荷だ。イエレン氏は「政治情勢は金融政策の判断に影響しない」とするが、共和党の大統領選候補、ドナルド・トランプ氏は「利上げでドル高になれば、米経済は大変なことになる」と声高にけん制する。市場では「大統領選前の9月、11月の利上げは難しい」との指摘がある。

イエレン氏は8月下旬に各国の中央銀行関係者が集まるジャクソンホール(ワイオミング州)での会合で講演を予定する。雇用回復で9月会合も視野に早期利上げを宣言するのか、慎重姿勢を維持するのかが大きな注目点になる。

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