「租税逃れ」、世界揺らす アイスランド首相が辞任
パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)関連文書が、世界の政治リーダーを揺さぶっている。グンロイグソン首相の資産隠し疑惑が指摘されたアイスランドでは首相が辞任したと現地メディアが報じた。習近平国家主席の親族の名前があった中国ではネット検索ができなくなり、情報統制が始まった。各国で政治問題に発展しつつある。

1000万件以上の文書を南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が検証した。国境をまたぐ犯罪や汚職などを調査報道する非営利組織で約70カ国・200人のジャーナリストが参加する。
アイスランドの首都レイキャビクではグンロイグソン首相の辞任を求めて数千人の市民がデモを実施した。野党も辞任要求を強め、現地メディアは5日、首相が辞任したと報じた。
香港メディアによると、中国では習近平国家主席の実姉の夫とされる鄧家貴氏の名前が挙がった。反腐敗を権力闘争の道具としてきただけに、当局は神経をとがらせる。ネット検索を制限し、微博(ウェイボ)など交流サイト(SNS)の書き込みも削除している。中国外務省の洪磊副報道局長は5日の会見で「噂については評論しない」とコメントを避けた。
ロシアのプーチン大統領は友人の関与が指摘された。大統領報道官は米中央情報局(CIA)の関与もほのめかし「事実を捏造(ねつぞう)し、情報を操作している」と否定した。
今回の疑惑は、多国籍企業の租税回避に批判が集まるさなかに浮上した。亡父の関与を指摘された英キャメロン首相は13年の主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)で企業の租税回避の防止を強化する方針を打ち出し英国内の法整備も進めてきた張本人だ。英税務当局はICIJに情報提供を求め、調査するという。