2019年6月18日(火)

オーストリア大統領選、リベラル系が極右破る

2016/12/5 12:38
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【ウィーン=赤川省吾】4日のオーストリア大統領選でリベラル系・緑の党のファン・デア・ベレン元党首が勝利した。公共放送ORFが報じた予測値によると、得票率は53%と対抗馬だった極右・自由党のホーファー氏に7ポイントの差をつけた。極右は「反エスタブリッシュメント・反難民」を訴えて接戦に持ち込んだが、国際的な評価が失墜することを心配した有権者が当選を阻んだ。

大統領選は5月に同じ顔ぶれで行われ、リベラル派が僅差で勝利した。ところが憲法裁判所が開票手続きに不備があったと判断し、やり直しとなった。難民危機で勢いに乗る極右政党が戦後初めて大統領ポストを握るかどうかが焦点だった。

同党は戦後に元ナチス党員らが旗揚げし、自虐史観の是正や排外主義を訴えて1980~90年代に党勢を伸ばした。今回は無党派層を取り込むため、過激な言い回しを封印。ソフト路線を演じて寛容な難民政策を掲げるリベラル系を猛追した。

穏健政党は「極右阻止」で結束した。地元紙によると大卒者の8割、女性の6割に浸透。ウィーンなど都市部で強みを発揮し、事前予想より票差が開いた。ファン・デア・ベレン氏は「世界に開かれた親欧派の大統領になる」と勝利宣言した。

有権者は寛容な難民政策に賛成したわけではない。恐れたのは86年の大統領選での失敗を繰り返すことだった。

当時、保守系政党の支持を受けて元国連事務総長のワルトハイム氏が大統領に就いたが、ナチス党員だった過去が災いし、周辺国は対話を拒否。オーストリアは国際的な信認を失った。その再来を心配した有権者がリベラル系に票を投じたというのが今回の実態だ。

それでも来年に選挙を控えた隣国ドイツは安堵する。「大衆迎合主義(ポピュリズム)に理性が勝った」とドイツのガブリエル副首相はコメントした。ただ負けたとはいえ極右は46%の票を集め、隠然とした力を持つ。

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