2019年1月19日(土)

イスラエル、ガザから地上部隊撤収

2014/8/5付
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【カイロ=押野真也】イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザに展開していた地上部隊を撤収させた。エジプトが提案した同日朝(日本時間同日午後)から72時間の「一時停戦」に同意した。イスラエルは敵対するイスラム原理主義組織ハマスが今回の一時停戦を順守すれば、「本格停戦」に向けた交渉に参加する。ただ、双方はこれまで停戦の受諾と破棄を繰り返しており、今回の一時停戦が本格停戦につながるかはなお流動的だ。

エジプトが提案した一時停戦案は5日午前8時(日本時間同日午後2時)に発効し、双方に72時間の軍事行動の中止を求める内容だ。イスラエルとハマスの双方が受諾し、イスラエルはガザ市街に展開していた地上部隊を発効期限までに境界付近に撤収させた。

現在、エジプトのカイロでエジプト政府とパレスチナ側の交渉団が本格停戦に向けて協議中だ。ただイスラエルはまだ交渉団を派遣していない。イスラエルとしては、まずはハマス側が今回の一時停戦を守るかどうかを見届けた上で交渉団をカイロに送り、交渉に入る方針だ。

イスラエル政府関係者は、今回の一時停戦は「ネタニヤフ首相が決断した」と話す。4日に治安閣議を開いたが、首相は閣僚には意見を求めず、「停戦案を受諾する方針のみを伝えた」という。ネタニヤフ首相は当初から地上軍投入には慎重で、早期の幕引きを図りたいのが本音だったと見られていた。

イスラエル側は、7月17日に地上軍を投入後、作戦目標だったガザとイスラエルを結ぶ地下道の破壊をほぼ完了した。しかし一連の軍事作戦でパレスチナの一般市民を含む1800人以上が死亡し、イスラエルへの国際的な非難が強まった。イスラエル兵64人が死亡するなど自国の犠牲も増えつつあった。

一方、これまで停戦案を拒否してきたハマスが一時停戦を受け入れた背景には組織の窮状がありそうだ。イスラエルへのロケット弾攻撃は大半がイスラエルの迎撃システムで撃ち落とされ、ロケット弾が底をつきかけている可能性がある。

学校やイスラム教の礼拝施設にロケット弾の発射設備を設け、住民の避難を阻止するなど、ハマスが一般市民を「人間の盾」にしているとの批判も内外で強まっている。5日付のイスラエル紙マーリブは「ハマスは追い込まれ、もはや停戦以外に選択肢がないことを悟っている」と指摘した。

ハマスは本格的な停戦受諾の条件として、イスラエルによる経済封鎖の解除を条件に掲げている。現在、カイロで続くエジプトとハマス幹部との交渉でも、経済封鎖が大きな焦点になっているもようだ。

2012年の軍事衝突の際も、ハマスは経済封鎖の緩和を条件に停戦で合意した「成功体験」がある。しかし、ハマスに同情的で、この合意を導いたエジプトのモルシ政権は昨年のクーデターで崩壊。現在はハマスを敵視する軍出身のシシ大統領が政権を率いる。

ハマスを支援してきたカタールやイランは停戦交渉を主導しておらず、ハマスは孤立しつつある。現在のハマスにとっては「反イスラエル」の国際世論のみが頼りなだけに、経済封鎖解除の確約がなければ本格停戦には応じず、一般市民の犠牲を強調する戦略を続ける可能性もある。

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