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メルケル独首相、4選へまた一歩 TV討論で野党攻勢かわす

【ベルリン=石川潤】24日のドイツ連邦議会(下院)選挙を前に、メルケル首相とライバルのシュルツ・ドイツ社会民主党(SPD)党首が3日夜、テレビ討論会で対決した。公共放送ARDによると、難民問題などで攻勢をかけたシュルツ氏よりも、現実的な解決策を説いたメルケル氏に軍配が上がった。12年間の実績を背景に外交や経済政策で安定感をみせるメルケル氏が、首相4選にまた一歩近づいた。

近隣国に根回しもせずに難民を大量に受け入れたのは間違いだったのではないか――。討論会でシュルツ氏が最初にかみついたのが、メルケル氏の難民政策だった。メルケル氏は2015年秋に難民受け入れを決断し、国際社会の喝采を浴びたが、ドイツ国内では混乱が広がった。メルケル氏は「決断せざるを得なかった」と当時の苦しい胸のうちを明かした。

シュルツ氏はその後も、トランプ米大統領への批判や、人権問題で対立するトルコの欧州連合(EU)加盟交渉の打ち切りなどでメルケル氏との違いを強調。トランプ米大統領について「世界をツイートで危機の縁に追いやった」という強い表現を使い、ドイツの首相であれば毅然と対応すべきだと訴えかけた。

一方、メルケル氏は北朝鮮問題について「米国抜きで問題は解決できない」と指摘。平和的解決に向けてトランプ氏を説得する姿勢を示した。トルコのEU加盟問題も、EU各国ともう一度話し合うという方針を示して攻勢をかわした。

討論会は挑戦者であるシュルツ氏が理想論を掲げ、メルケル氏が現実論で応じる展開が続いたが、ARDによると、視聴者が軍配を上げたのはメルケル氏。55%がメルケル氏に説得力があったと答え、シュルツ氏は35%にとどまった。

選挙戦では、メルケル氏が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が支持率でSPDを10ポイント以上リードしている。テレビ討論会はシュルツ氏にとって逆転の「最後のチャンス」とされたが、同氏がものにしたとは言えない状況だ。

メルケル氏の発言が説得力を持ったのは、これまで12年間の政権運営で着実な成果を残してきたからだ。シュルツ氏が批判した難民政策では、トルコと難民の流入抑制で協力する合意にこぎつけ、流入を大幅に減らしている。現在は北アフリカからイタリアへの密航ルートの封じ込めにも力を注ぐ。

トランプ氏とも気候問題などを巡り、20カ国・地域(G20)首脳会議などで激しくやり合ってきた。メルケル氏がトランプ氏のいいなりになっているとみるドイツ国民はそう多くない。

「ドイツは裕福な国だが、すべての人々が裕福なわけではない」。シュルツ氏は格差問題を取り上げたが、討論の大半の時間が難民や外交などの問題に割かれたこともあり、議論は深まらなかった。失業率が3%台という好調な経済が、シュルツ氏の説得力を弱めてしまった面もある。

「ゼロ対ゼロ」。地元紙のベルリナー・ツァイトゥングは討論が外交などに終始し、国民の関心の高い教育などに向かなかったことを指摘。勝者なき討論会になったと批判した。税制やディーゼル車の排ガス問題など、生活に影響が大きい分野で、両者の違いは際立たなかった。

選挙戦は残り3週間。メルケル氏の優勢が続くなか、ドイツ国内の関心は選挙後の連立協議などに移りつつある。現在のCDU・CSUとSPDとの大連立の行方が焦点になる。

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