ASEAN外相会議、南シナ海「中国は抑制を」
日米と連携強化求める声

2015/8/5付
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【クアラルンプール=佐竹実】東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日、マレーシアの首都クアラルンプールで外相会議を開き、南シナ海で強行する埋め立ての抑制を中国に求める方針で一致した。中国をけん制するため、日米との連携強化を求める意見も強まった。だが中国は域外国の関与に強く反発しており、経済支援などを絡めてASEAN各国の分断に動いている。

ASEAN外相会議で記念撮影する外相ら(4日、クアラルンプール)

ASEAN外相会議で記念撮影する外相ら(4日、クアラルンプール)

今年のASEAN議長国マレーシアのアニファ外相は外相会議後に記者会見し「埋め立てなど緊張を高める行動を受け、信頼を損なう行為にどう対処するかについて話し合った」と述べた。共同声明は6日のASEAN地域フォーラム(ARF)終了後をメドに公表する見通しだ。

ASEAN外相は午前と午後の2回に分けて会議を開いた。午後の非公式会議で南シナ海を巡る議論を集中的に議論した。議論を先導したのは領有権紛争の当事国フィリピンだった。

デルロサリオ外相はA4判用紙9ページに及ぶ声明を用意し、中国を声高に非難した。「中国は南シナ海で航行の自由を脅かす行動をとっている」と名指しで批判し「埋め立てや施設の建設、緊張を高める行動の停止を求める米国を全面的に支持する」とも述べた。

同外相の発言の目的は、中国の強硬な海洋進出への警戒を強める国際社会との連携強化だ。「ASEANだけの問題ではなく、世界全体の問題だ」と述べ、紛争当事国同士の交渉を求める中国を強くけん制した。

会議では国際法に基づいて領有権紛争の解決を目指す「行動規範」の早期作成を目指す方針でも一致した。これまで中国への配慮が目立ったカンボジアの外交当局者も「粘り強く議論を続ける」と賛同した。

ASEANが領有権紛争に国際社会の巻き込みを目指す背景には、域内会議の声明で「懸念」を表明するだけでは中国の抑制が難しい現実がある。4月の首脳会議でも「深刻な懸念を共有する」と述べたが、中国は埋め立て現場に軍事関連とみられる施設の建設を続け、大型機の発着が可能な3キロ級の滑走路もほぼ完成した。

東南アジア外交筋は「小国の集まりであるASEANだけでは一方的な海洋進出は防げない」と話す。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所のデータによると、ASEAN10カ国の過去5年間の軍事支出の合計は、中国の5分の1にすぎない。大きな軍事力を持つ米国などの影響力を利用して中国をけん制する方向に傾いている。

フィリピンは自衛隊との連携も強化している。海上自衛隊と同国海軍は6月下旬に南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺で初めて共同訓練を実施。海上自衛隊は主に警戒監視にあたるP3C哨戒機を派遣した。

だが中国はこうしたASEANの姿勢を強く警戒している。王毅外相は会議に先立ち、対中批判を強める米国を念頭に「会議の邪魔をする行為だ」と表明した。ASEANと日米の連携に不快感を示したものだ。王毅氏は4日の外相会議後にマレーシア外相と個別に会談した。会談の内容は判明していないが、中国の不満を伝えたとみられる。

焦点は6日開催のARFだ。ASEANとの連携を軸に中国への批判を強める日米に対し、中国は真っ向から反発する見通しだ。中国との経済関係が深いASEANの対応が注目される。

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