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カタール経済封鎖 長期化 サウジなど断交1カ月

【イスタンブール=佐野彰洋】サウジアラビアなどのアラブ諸国がカタールとの国交断絶を発表してから5日で1カ月となる。関係修復の条件としてサウジなどは衛星テレビ、アルジャズィーラの閉鎖など13項目の要求を突き付けたが、カタールは拒否。米国の調停も事態の収拾にはつながっていない。対カタール経済封鎖の長期化は湾岸地域の成長に影を落とす。

カタールのムハンマド外相は3日、仲介役のクウェートを訪問し、同国のサバハ首長に回答書を手渡した。内容は不明だが、ムハンマド氏は回答に先立ち「(要求は)拒否しかできないように作られている」と批判しており、受け入れを拒んだとみられる。

イランとの外交関係縮小、イスラム主義勢力「ムスリム同胞団」などとの関係断絶、アルジャズィーラやトルコ軍基地の閉鎖――。サウジ、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの4カ国は先月22日、13項目の要求を提示した。今月2日の期限を48時間延長し、カタールの譲歩を促している。

4カ国は5日にカイロで外相会合を開く。カタールの回答を不十分と判断すれば、実施済みの国境閉鎖や国民の往来禁止に加え、カタールの銀行からの預金引き揚げ、湾岸協力会議(GCC)の資格凍結など制裁強化に動く可能性が指摘されている。

親米のアラブ諸国同士の対立長期化を避けようとティラーソン米国務長官は関係国の閣僚と相次いで会談するなど調停を本格化させているが、事態収拾の糸口はつかめていない。

トランプ米大統領は2日、サウジのサルマン国王やカタールのタミム首長と電話で協議し、断交問題への懸念を表明した。ただ、トランプ氏のサウジ寄りの姿勢は知れ渡っており、仲介役としての米国の立場を弱めている。

経済封鎖は企業活動にも影響を及ぼしている。2022年のサッカーW杯を開催するカタールでは総額2000億ドル(約23兆円)規模とされるインフラ整備が急ピッチで進む。UAEなどは自国の港に立ち寄った船舶がカタールに向かうことを禁じており、企業はインフラ建設に必要な資機材を本国から直接運んだり、第三国経由に切り替えたりして対応する。

人の往来も迂回を迫られている。外資系企業が地域の統括拠点を置くUAEのドバイ。カタールの首都ドーハとは所要時間約1時間の直行便で結ばれていたが、断交を受けて直行便は運航を停止した。外国人ビジネスマンはオマーン経由など4~5時間かかる代替ルートの利用を余儀なくされている。

断交発表後、米格付け会社S&Pグローバルはカタールの長期債格付けを引き下げており、対ドル相場を固定するカタールリヤルには下落圧力がかかる。政府系投資ファンド、カタール投資庁は市中銀行に新たに数十億ドルを預け入れ、不安解消に努めている。

事態の長期化はサウジなどにも重くのしかかる。サウジ、UAE、バーレーンの企業がカタールでの建設工事などを受注しているためだ。AFP通信はカタール高官の話として、20億ドル相当の契約不履行リスクがあると報じた。

地域経済全体に影響が広がれば、原油価格の低迷で落ち込む各国経済の重荷となる可能性もある。

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