欧州、対米政策仕切り直し 外交・通商ですれ違い

2017/2/4 20:22
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【バレッタ=森本学、ベルリン=赤川省吾】欧州連合(EU)が対米政策の仕切り直しに動く。3日にマルタで開いた非公式EU首脳会合ではトランプ米政権への批判が続出し、米国との関係冷え込みが浮き彫りになった。欧州は「結束」で対抗するが、外交・安全保障、通商政策でのすれ違いはすぐには埋まりそうにない。戦後秩序の基盤となってきた米欧同盟が揺らげば、国際政治に与える影響は小さくない。

異例の事態だった。トランプ氏を「敵」とみなす空気がEU首脳会議を覆い、米批判の大合唱となった。「欧州に対する挑戦だ」と切って捨てたのはオランド仏大統領。メルケル独首相は「我々にも欧州の利益というものがある」と強調した。

歴代の米大統領は統合を深める「強い欧州」が自国の利益になるとの立場だった。ところがトランプ氏はEUを「ドイツのための乗り物」とこき下ろし、北大西洋条約機構(NATO)は「時代遅れ」と評する。欧州にとって米国はいまや「信頼できない国」と映る。

米欧関係は新たな局面に入った。今回のEU首脳会議の舞台となったマルタでは、ベルリンの壁が崩壊した直後の1989年に米ソ首脳が会談。これが東西冷戦を終わらせ、米国は欧州統合の背中を押した。それからほぼ30年。同じ場所で欧州は対米政策を練り直さざるを得なくなった。

欧州は対米追従はせず、まずは米国の出方を探る考えだ。首脳会談に先立って2日、ドイツのガブリエル副首相兼外相が訪米し、ペンス副大統領やティラーソン国務長官らと会談した。ロシアやイラン情勢について意見交換したとみられる。

2月中旬には交渉の舞台は欧州に移る。ベルギーでNATO国防相理事会、ドイツで主要20カ国(G20)外相会合とミュンヘン安全保障会議が開かれる。トランプ政権の閣僚らが欧州入りし、外交・安保保障で腹の探り合いが本格化する。

焦点の一つはNATOの位置づけだ。ロシアに融和的な姿勢をみせるトランプ政権が、中・東欧をロシアの脅威から守ろうとするのか。「今後も永続的に(米国からの)支援を得られる保証はない」(メルケル氏)との疑念が欧州にはくすぶる。米国離れが進めば「EU軍」の創設論議が現実味を帯びてくる。

ロシアの経済制裁を続けるのか、イランにはどう向き合うのか、シリア和平にどう取り組むのか――。こうした案件もすべてゼロから議論を積み上げることになる。

「結束」を目指すEUにも弱点はある。英国の離脱で軍事面でのプレゼンスは低下し、国連安全保障理事会の常任理事国もフランスのみとなる。4~5月の大統領選へ極右政党「国民戦線(FN)」の台頭に揺れる仏の行方も、EUが外交や安保で米国と向き合ううえで大きなカギを握る。

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