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プーチン政権に衝撃、引き締め強化も

【モスクワ=古川英治】ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄駅で起きた爆発にプーチン政権内で衝撃が広がっている。少なくとも10人死亡、多数の負傷者が出ており、テロとの見方が強まっている。背後関係は明らかになっていないが、政権は対テロを目的に国内の統制強化に動きそうだ。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で欧米に対する働きかけを強めるともみられている。

プーチン大統領がベラルーシのルカシェンコ大統領と会談するためにサンクトに滞在しているタイミングで爆発が起きた。プーチン氏は会談の冒頭で連邦保安局(FSB)に徹底捜査を指示したとしたうえで、「テロを含めてあらゆる原因を考慮している」と発言した。サンクトの地下鉄は全面閉鎖され、当局はモスクワの空港などでも警戒を強めている。

ロシアではイスラム系が多い南部のチェチェンやダゲスタンで治安機関を狙ったテロが頻発しているが、2013年を最後に主要都市でのテロは起きていない。パリやブリュッセルなど欧州各地でイスラム過激派によるテロが相次ぐなかで、治安当局はテロの封じ込めを誇示していた。

ISなどイスラム過激派組織はかねてロシアへのテロを予告していた。プーチン政権は15年、内戦が続くシリアに軍事介入し、同国のアサド政権を支援。対テロを名目とした空爆では多くの市民が犠牲になったとされ、ロシアに対する反発が強まっていた。ロシア政府によると、同国南部などから数千人規模がISに合流しており、政権は国内の過激派勢力と国際テロ組織の結びつきを警戒してきた。

今回の爆発が内政に影響を与えることは確実だ。ロシアでは3月26日にモスクワやサンクトを含む80都市以上でプーチン政権の腐敗に抗議するデモが起きたばかり。カーネギー・モスクワ・センターのアンドレイ・コレスニコフ主任研究員(国内政治)は「政権は国内の一般市民を含めた引き締めに利用する可能性がある」と指摘する。

プーチン政権は過去にもテロの直後に、脅威に対する「団結」を訴え、国内の統制強化に動いてきた経緯がある。04年に南部で起きた学校占拠事件の後には州知事選挙を廃止、大統領が直接任命する制度に変更し、中央集権化を進めた。

外交面では、米欧への対テロ協調の働き掛けを強める契機となりそうだ。プーチン政権はシリアへの軍事介入と同時に、米欧に対してIS掃討を巡る連携を呼びかけてきた。トランプ米政権はISを脅威として挙げており、ロシアとの協調に言及している。今回の事件がイスラム過激派によるテロと断定されれば、プーチン政権が米ロ関係改善を視野に入れた対テロ外交を活発化させる可能性がある。

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