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米ロ関係、対テロ軸に仕切り直し 首脳が電話協議

【モスクワ=古川英治】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は2日、米軍によるシリアのアサド政権攻撃後初めて電話で協議した。テロの温床となっているシリアの停戦に向けて協力することで一致したが、朝鮮半島の緊張緩和を巡っては立場の相違も浮かんだ。ともに掲げる「対テロ」を軸に関係修復を仕切り直す両者の思惑が透ける。

今回の電話協議はロシア側主導で実現したもようだ。ロシアが支援するシリア・アサド政権が化学兵器を使用した疑いが強まる中で米国はミサイル攻撃に踏み切り、米ロ関係は悪化した。ロシア大統領府(クレムリン)は電話協議について「シリア危機を背景に、将来のロシアと米国の国際テロに対する行動の調整を話し合った」と強調し、対テロをテコに対話復活を目指す意図を示した。

トランプ氏はかねてシリアとイラクにまたがる過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を最重要課題に掲げ、ロシアのウクライナ侵攻により冷え込んだ米ロ関係の改善を主張してきた経緯がある。米ロが対テロ協力を進めるには、アサド政権と反体制派の戦闘が続くシリアの停戦で折り合う必要がある。

ホワイトハウスは電話協議後の声明で、ロシアが主導するシリア停戦会議に米国が特使を派遣すると発表した。この会議はロシア、トルコ、イランが共催し、プーチン政権はかねて米国に参加を働き掛けていた。

米ロ首脳はシリアに「安全地帯」を設けることも議論した。プーチン氏は3日、ロシア南部ソチでトルコのエルドアン大統領との会談後の記者会見で、トランプ氏に安全地帯について提案したことを明かし、「米国も前向きだとの印象を受けた」と述べた。

ロシアやトルコはシリア西部などに軍を駐留させ、治安維持につなげる計画を練っているとされる。プーチン氏は3日の会見で「安全地帯は停戦を固め、政治対話の環境を整える手段」などと説明し、条件付きで飛行禁止区域とする考えも示した。

米国のシリア攻撃直後にモスクワで開いた4月の米ロ外相会談では、アサド政権を支援するロシアと支援の停止を求める米国の溝は埋まらなかった。トランプ氏は「米ロ関係は史上最低」と発言していた。

米国内では米大統領選にロシアが介入したとの疑惑が浮上し、トランプ氏周辺にも米連邦捜査局(FBI)の捜査が及んでいる。トランプ政権はロシア接近に慎重にならざるを得ない。ロシアはこうした米国の事情を忖度(そんたく)し、国際社会の支持を得やすいシリア停戦と対テロをテコに関係修復に水を向けているとみられる。

ただ電話協議を通じ、北朝鮮情勢を巡る米ロの思惑の違いも浮き彫りとなった。ホワイトハウスは「最善策を協議した」とだけ発表。一方のクレムリンは「ロシア大統領は自制と緊張緩和を要請した」と指摘し、軍事的な圧力を掛ける米国をけん制した。

国連安全保障理事会では4月、中国も賛成した北朝鮮のミサイル発射を非難する報道声明についてロシアだけが反対し、文言を変更させた。トランプ氏は朝鮮半島情勢を巡って習近平・国家主席を評価する発言を繰り返しており、ロシアは米中接近を警戒している面もありそうだ。

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