米、牛や鶏などへの抗生物質投与規制 薬剤耐性菌を抑制
【ワシントン=芦塚智子】米食品医薬品局(FDA)は食用の牛や鶏などへの抗生物質の投与を規制する指針をまとめた。抗生物質が効かない薬剤耐性菌の発生を抑える狙い。抗生物質の家畜への過剰投与が原因の一つとされており、2016年12月から実施する。
人間の治療に重要な抗生物質を食用の家畜に投与する場合、畜産・養鶏業者らが獣医師の処方箋を取得するよう義務付ける。抗生物質の投与は病気を防ぐ目的に限り、成長の促進のための使用を禁止する。指針は獣医師による処方箋交付の手続きを定めている。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国では年間約200万人が薬剤耐性菌に感染し、約2万3千人が死亡している。ホワイトハウスは2日、食品会社の代表や医療関係者らを集めた薬剤耐性菌の対策会議を開いた。オバマ米大統領は連邦政府の食堂でFDAの方針に従った食肉を使うよう促す大統領令に署名した。
オバマ氏は3月、薬剤耐性菌対策に12億ドル(約1500億円)の予算を充てる国家行動計画を発表している。