2019年2月22日(金)

マレーシア、北朝鮮に強硬路線 ビザなし往来停止

2017/3/2 23:40
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【クアラルンプール=吉田渉】マレーシアが北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件の捜査への協力を拒む同国へ強硬姿勢を強めている。ザヒド副首相は2日、北朝鮮籍者に対する入国ビザ(査証)の取得免除を6日付で停止すると発表した。外交官の追放や国交断絶などより厳しい措置の導入も検討する。

「安全への懸念を考慮した」。ザヒド副首相は同日朝、ビザ免除停止の理由をこう説明した。

正男氏殺害は1~2月に入国した北朝鮮籍の4容疑者が主導した疑いが濃厚で、いずれも事件直後に国外へ逃亡。2000年に両国が署名した短期入国ビザの免除を利用して流入した可能性が高く、治安上のリスクになっていると判断した。

北朝鮮に厳しい態度をとる理由は2つ。1つはマレーシア国内で広がる北朝鮮への反発だ。北朝鮮側は捜査を主導するマレーシアへの激しい批判を続けており、放置すれば「弱腰」との批判が政権に向かいかねない。

もう1つが北朝鮮への圧力強化だ。逃亡中の4容疑者はすでに平壌に戻った。殺害に使われた猛毒VXを運んだ疑いがある在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官は、大使館内に潜んでいるとの見方が強い。マレーシアは厳しい姿勢で北朝鮮に臨み、捜査への協力をのませる筋書きを描く。

北朝鮮は反発姿勢を崩さない。リ・ドンイル元国連次席大使は2日夕、北朝鮮大使館前に現れ、正男氏の死因は「心臓発作だ」との主張を繰り返し、マレーシアに遺体の即時引き渡しを求めた。

北朝鮮に協力姿勢がみられない場合、マレーシアはさらに厳しい措置を導入して圧力を強める考えだ。同国外務省はすでに複数の選択肢を洗い出し、国交断絶も視野に入れているもようだ。

背景には捜査の行き詰まりがある。同国司法当局は、殺害に関与した疑いで逮捕した北朝鮮籍のリ・ジョンチョル容疑者(46)を3日に釈放すると明らかにした。現地報道によると、実行犯の女の移動にリ容疑者の自動車が使われたため拘束したが、殺害への関与を示す証拠は見つからなかった。就労ビザの期限がすでに切れているため、強制送還する見通しだ。同容疑者は北朝鮮の関与を突き止める数少ないカギだっただけに、捜査は一段の難航が予想される。

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