2019年1月21日(月)

スペースX、成功率9割割れ 試験中にロケット爆発

2016/9/2 23:19
保存
共有
印刷
その他

【シリコンバレー=兼松雄一郎】米宇宙開発ベンチャー、スペースXの打ち上げロケット「ファルコン9」が1日、米フロリダ州の発射場で打ち上げ前の試験中に爆発し、打ち上げ連続成功は9回で途絶え、成功率は9割を切った。打ち上げにかかる保険料の上昇で受注が鈍る懸念があるほか、米国の悲願である有人飛行の再開計画に遅れが出る可能性も出てきた。

■200億円の衛星、使用不能に

同社の打ち上げ失敗は昨年6月以来。今回の爆発でけが人はなかったものの、約200億円をかけた人工衛星が損傷し、使えなくなった。失われた衛星を使ってアフリカでのインターネット接続サービスを計画していた米フェイスブックにとっては手痛い事故だ。

こうした損害に備えてロケット打ち上げには通常、保険をかける。打ち上げ企業ごとの成功率や使っている部品、技術の信頼性などに応じて保険料率は細かく変わる。保険料を含む全体のコストの多寡が打ち上げ企業の競争力を左右する。

打ち上げ費用が競合より3割程度は安いとされ、業界に価格破壊を仕掛けているスペースXだが、失敗が続いて保険料が上昇すればコスト競争力が揺らぐ。成功率を9割以上に保つことは業界の一つの目安になっており、今回の事故でこれを下回ったのは痛手だ。

事故の検証に時間がかかり、数年内に迫った有人飛行計画の遅れを懸念する声も強まっている。米国は2011年のスペースシャトルの退役以降、宇宙ステーションへの有人飛行はロシアの宇宙船ソユーズに頼らざるを得なくなった。米国が自前の有人飛行手段を復活させる切り札として、米航空宇宙局(NASA)は新たな宇宙船をスペースXにも発注している。

スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「仮に有人だった場合は脱出カプセルはうまく作動していただろう」として、有人飛行の実現に向けて強気の姿勢を保っている。今回の事故がスペースXの経営悪化にすぐにつながるわけではないことも強気の背景にある。

■100件近い受注残

同社はNASAや米空軍から打ち上げを受注しているほか、昨年には米グーグルなどから10億ドル(約1千億円)を調達しており、資金面では一定程度の余力がある。打ち上げの受注は通常、発射の2年ほど前に決まるため、すでに100件近い受注を抱えるスペースXには挽回する時間的余裕も十分にある。

宇宙開発には多額の政府予算が直接、間接的に使われるため、日本では打ち上げ失敗には厳しい批判が集中する。一方、米国では「宇宙は厳しい」という言葉が一般的に使われ、宇宙開発に失敗はつきものとの考え方が定着している。今回の事故も死傷者が出なかったこともあり、特に批判は起きていない。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報