【ワシントン=吉野直也】ロシアが9月30日から始めたシリア領内の空爆作戦で、攻撃対象が米中央情報局(CIA)の軍事訓練を受けた反体制派であることが分かった。米国の野党・共和党の重鎮で上院軍事委員長のジョン・マケイン氏が1日、米CNNのインタビューで明らかにした。シリア情勢をめぐる米国とロシアの対立が一段と深まる懸念がある。
ロシアは中東の過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)掃討を名目にアサド政権を支援する姿勢を強めている。
マケイン氏は「CIAが軍事訓練したアサド政権の反体制派をロシアが空爆したのは間違いない」と強調した。その根拠について「シリアにいる現地の反体制派と連絡を取り合い、確認した」と説明した。アーネスト米大統領報道官は1日の記者会見で「無差別な軍事作戦だ」と非難した。前日にはカーター米国防長官が「IS不在地域だった可能性が高い」と述べていた。
米ロ両国の国防当局は1日、シリアにおける軍用機同士の偶発的な衝突を避けるための高官協議をテレビ回線で開いた。米側は「ロシアの空爆がISを標的にしていない。軍事行動はISの打倒であるべきだ」と訴えた。
ロシア側は反体制派への空爆を公式には認めていない。オバマ政権は反体制派が攻撃を受けた場合、報復措置を取ると明言してきており、対応が注目される。