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欧州左派の退潮鮮明 仏大統領選、オランド氏が出馬断念

【ルツェルン(スイス)=竹内康雄】欧州で左派政党の退潮が鮮明になってきた。フランスのオランド大統領は1日、2017年4月の大統領選への不出馬を表明した。同氏が属する社会党(中道左派)は候補者選びに着手するが、右派や極右の候補に勝てないとの世論調査が多い。イタリアでも中道左派のレンツィ首相が4日の国民投票を前に苦境に立たされており、欧州では右派や急進政党が台頭しつつある。

不出馬を表明したテレビ演説でオランド氏は次期大統領候補の政策を批判した。世論調査で最も有力なフィヨン元首相(共和党=中道右派)の政策は「格差が広がるリスクがある」と分析するとともに「仏社会モデルや公的サービスを危機に陥れる」と主張。フィヨン氏の経済政策はサッチャー元英首相に倣い、小さな政府を志向する。

一方、フィヨン氏の対抗馬である極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首に対してはさらに強い調子で批判した。「米国で最近起きたことをやろうとしている」とトランプ氏の大統領当選を利用しようとする姿勢を問題視。FNが欧州連合(EU)離脱を視野に入れるのを念頭に「最も危険なのは保護主義だ。内向きな姿勢が仏労働者を危険にさらす」と訴えた。

だがオランド氏の言葉はむなしく響く。大統領選は2回投票制。1回目の投票で過半数を得る候補がいなければ上位2候補が決選投票に進む。多くの世論調査は、決選投票に進むのはフィヨン氏とルペン氏と予測する。

隣国イタリアでは同じ中道左派のレンツィ首相が正念場を迎える。改憲案が否決されて退陣に追い込まれ、解散・総選挙が現実になった場合、勢力を伸ばすとみられるのはEU懐疑派の新興政党「五つ星運動」だ。

左派は一般的に貧困撲滅や人権保護など弱者に手厚い政党だ。それでも足元で人気が低迷するのは2つの逆風がある。

一つは極右など急進政党の台頭だ。これまで左派は自由主義や資本主義の負の面への批判を一手に担ってきたが、そこへ急進政党が加わった。それどころか急進政党は既存政党を右派、左派問わず「エリート政治」として攻撃し始めた。

もう一つは近年、欧州を襲った2つの危機だ。難民危機では有権者が自らの安全や雇用に不安を感じるなかで「右派や極右は移民や難民に強硬姿勢を示し、支持を取り込んだ」(マイヤー仏国立科学研究センター研究部長)。債務危機では欧州委員会主導で財政規律が厳しく管理されている。大きな政府を志向する左派政権も財政赤字削減を重視し、増税や歳出減など緊縮財政といえる対策を打ち出さざるを得なかった。

仏伊だけではない。スペインは急進左派のポデモスが党勢を拡大。ドイツでは17年秋の議会選で排外主義を唱える民族主義政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進が予想される。英国もEU離脱や移民の制限を強く主張する英国独立党(UKIP)が目立つ。

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