2019年1月23日(水)

習氏、軍の組織掌握へ布石人事 中国で改革始動

2016/1/2 21:08
保存
共有
印刷
その他

【北京=永井央紀】中国の習近平国家主席が進める人民解放軍改革が具体的に動き始めた。12月31日に「ロケット軍」「陸軍司令部」「戦略支援部隊」の3組織を新設する式典を開き、習氏が各司令官を任命した。陸海空軍を一体運用する現代戦に適した体制を整えるとともに、改革を通じて軍掌握を進める狙いだ。

新組織の設立は国営新華社が1日に伝えた。2015年のうちに改革の成果を出したことを示す一方で、新年初日に公表することで建国以来最大とされる軍改革の意義をアピールした。

新設されたロケット軍は弾道ミサイルを担当する。従来は「第2砲兵」という名称だったが、これを「ロケット軍」に改称し、陸海空軍と同列の地位に引き上げた。習氏は式典で「戦略抑止の核心になる。国の安全を守る礎だ」と重要性を強調した。国防省によると核兵器の先制不使用などの方針に変更はない。

「陸軍司令部」は従来の中国軍には存在しなかった。軍全体が巨大な陸軍のような組織で、その中の一部として海軍や空軍の司令部を置く構成になっていたためだ。今回の陸軍司令部の新設には、海空軍と同じ扱いにして陸軍偏重主義を見直し、陸海空軍の一体運用を進める意味がある。

「戦略支援部隊」は具体的な内容が明らかになっていないが、習氏は「国の安全を守るための新型戦力だ」と説明。サイバー攻撃や宇宙空間の軍事利用を担う部隊が含まれるとの見方が多い。

新組織の司令官人事には軍掌握を加速させたい習氏の思惑がのぞく。陸軍司令官に任命された李作成・成都軍区司令官は15年7月に習氏が軍最高位の上将に昇格させたばかりだ。第2砲兵司令官からロケット軍司令官に横滑りした魏鳳和氏も習氏が中央軍事委員会主席に就任した直後の12年11月に上将に昇格させた。戦略支援部隊司令官に就いた高津・軍事科学院院長は中将で、習氏が昇格させる可能性が高い。

一方で、12月31日には習氏の軍内の盟友とされれる劉源・総後勤部政治委員が既に退任したことが明らかになった。劉氏は軍内の汚職摘発の旗振り役で、中央軍事委員会副主席や軍規律検査委員会トップへの昇格が取り沙汰されてきた。全国人民代表大会(国会に相当)幹部に転じるとの見方もあるが、軍からの退任は内部で反対意見が強かったことを物語る。

習氏の軍改革は始まったばかりだ。地域別に国防を担わせている「7大軍区」を4~5の「戦区」に再編する計画や、「4総部」と呼ばれる軍中枢組織の見直しはまだ具体像が明らかになっていない。党関係者によれば、軍内の既得権益を一変させる大改革なだけに抵抗は非常に強い。改革をめぐる攻防は、今後の人事にも反映される。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報