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米ウーバー、中国事業から撤退 自力開拓を断念

2016/8/1 21:13
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 中国の配車アプリ最大手、「滴滴出行」(北京市)は1日、米同業大手のウーバーテクノロジーズの中国事業を買収すると発表した。滴滴は世界最大の中国市場でシェア9割を占める。2位に付けていたウーバーはこれまで中国事業を強化して滴滴を追い上げるとしていたが、自力開拓を断念することになった。

中国では競合に押されて劣勢が続いていた(北京市中心部のウーバー乗り場)
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中国では競合に押されて劣勢が続いていた(北京市中心部のウーバー乗り場)

 「互いに修練し合ってきた仲だが、今後はより高い発展を目指して協力していく」。滴滴出行を運営する北京小桔科技の程維最高経営責任者(CEO)は1日、ウーバーの中国事業買収について声明を出した。

 株式交換を使った合併方式でウーバーの中国事業を買収する。中国でのブランド使用権、従業員、全資産を引き継ぎ、サービスは継続する。ウーバーは対価として株式などの形で合併新会社の約2割を保有する。買収金額は明らかにしていないが、数千億円規模に上るとみられる。

 ウーバーにとって自力取り組んできた中国事業からの事実上の撤退だ。米国をはじめ世界で急速に利用者を増やしてきたが、中国では通用しなかった。滴滴の存在が大きすぎたためだ。

 「ウーバー? 滴滴があるから、そんなのいらない。ほかのアプリより断然、タクシーが捕まりやすい」。北京市内の外資企業に勤める女性会社員(33)は出退勤や週末のレジャーで配車アプリ「滴滴出行」が手放せないという。

 滴滴を運営する北京小桔は2012年設立の新興企業だ。利用可能地域を中国全土に拡大しており、現在までに400都市をカバーする。利用者数は3億人を超え、中国市場でシェア9割近くを占め競合を圧倒する。

 最大の特徴は登録運転手の多さ。車があれば原則誰でも登録できる。こうした「白タク」を含め1500万人以上の運転手が滴滴に登録し、タクシーが捕まりにくい大都市や公共交通機関が乏しい地方などでの利用拡大につながっている。

 一方のウーバーは上海など主要都市でしかサービス展開できていない。高級路線を狙い、運転手側に「5年以内の新車に限る」「10万元(約150万円)以上の中高級車を使わなければならない」などの制約を課してきた。これが裏目に出て運転手が集まらず、使い勝手も改善しない悪循環が続いていた。

 米有力ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ(KPCB)によると16年の世界の「ライドシェア(相乗り)」利用回数は63億回と、1年前の3.7倍に拡大する見通し。中国はその7割を占める世界最大の市場だが、価格競争が激しく、ウーバーは年間10億ドル以上の赤字を垂れ流してきた。

 収支改善を求めてウーバー経営陣に圧力をかけてきた投資家の間では名より実を取った今回の判断を評価する声が多い。

 今後の焦点になりそうなのが中国以外の市場での競争への影響だ。“軍資金”に余裕ができるウーバーが米国や東南アジアなどで攻勢を強める可能性があるからだ。

 「シンガポールやジャカルタやマニラの利用者のニーズは、ニューヨークやロンドンやイスタンブールのそれとは違う」。東南アジアで事業展開するグラブ(シンガポール)のアンソニー・タン最高経営責任者(CEO)は1日、社員に送ったメールでこう強調した。同社は滴滴や米リフトなどと配車アプリの相互利用で提携する。現地事情を熟知した地元企業こそがかゆいところに手が届くサービスを提供できると主張する。

 だが、豊富な資金力を持つウーバーのサービス開発力は侮れない。中国における勢力図の変化が、ライドシェア市場における新たな再編を引き起こす可能性もある。

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