スペースXのロケット、試験中に爆発
負傷者なし
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米宇宙開発ベンチャー、スペースXの打ち上げロケットが1日、米フロリダ州の発射場で打ち上げ前の燃焼試験準備中に爆発した。負傷者はいなかった。スペースXの打ち上げは直近で9回連続で成功していた。失敗は昨年6月以来。米航空宇宙局(NASA)と共同で進める宇宙開発計画に影響を与える可能性もある。
1日午前9時すぎ(米東部時間)、米空軍からスペースXが借り受けている発射場で、ロケット「ファルコン9」上部の液体酸素タンク付近から発火した。100メートル近い範囲に広がる大きな爆発が起き、数回にわたる爆発が続いた。ロケット本体は崩壊し、荷物を積んだ先端部分も崩落して爆発した。発射台の一部も損傷した。
煙が周囲に立ちこめたが、地元自治体は「避難の必要はない」と発表した。
爆発が起きたのは、打ち上げ数日前の定例的な燃焼試験の準備中だった。作業は自動化されており、通常は大きな事故につながる可能性は低い状況だった。スペースXは声明で「詳細な原因は調査中だ」としている。
ロケットは3日に打ち上げられる予定で、イスラエルの衛星企業スペース・コミュニケーションズが200億円程度を投じて製造した人工衛星を積んでいた。人工衛星は米フェイスブックが仏衛星通信大手ユーテルサット・コミュニケーションズと組んで借り受け、アフリカなどに通信インフラを提供するプロジェクトに使う計画だった。
ファルコン9は再利用が可能なロケットで、2015年6月にもフロリダ州で打ち上げ後に上空で爆発する事故が起きている。スペースXは同年12月に打ち上げを再開。その後は発射に成功していた。