核のごみ処分地、国主導でも候補地絞れず 選定は難航必至

2017/7/28 23:52
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 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地の選定につながるマップが示された。原発の活用で避けては通れないごみ問題の議論がようやく一歩前に進む。ただ、日本の陸地の約3割に当たる広大な地域が最も有望とされ、候補地は絞り込めていない。選定作業は難航が予想される。

 マップは火山や活断層、地下資源がある地域を除き、約900の自治体を最終処分地にふさわしい地域とした。経済産業省と事業実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は9月以降に説明会を開き、立地を希望する自治体に調査を申し込む。

 経産省は「複数の地域で調査の受け入れを目指す」とするが、思惑通りに自治体が手を挙げるとは思えない。

 政府には苦い経験がある。電力会社などが設立したNUMOは2002年以降、最終処分地の調査を受け入れる自治体を公募してきた。07年に高知県東洋町が応募したものの、住民の激しい反対運動に遭い頓挫した。その後も公募を続けたが、名乗り出る自治体はなかった。

 そこに東京電力福島第1原発事故が起きた。経産省は、原発への不信感が高まり、電力会社がかかわるNUMOだけでは処分地の選定作業が進まないと判断。候補地を示すマップの作製や処分地選定を国が主導することを15年に閣議決定した。

 小泉純一郎元首相ら脱原発派が原発の処分地がない現状を「トイレがない」などと批判。原発の再稼働へ道筋をつけるためにも、処分地の議論を急ぐ必要があった。

 ただ、そのマップも公表を巡って迷走した。当初は土地の買収のしやすさや人口密集地を避けるなどの観点も盛り込み、適地をより絞り込むはずだった。

 ところが全国知事会などが「都市部も含めて検討すべきだ」などと要望したことから見送られた。公表は16年末の予定からずれ込み、適地を示したとは言い難い内容となった。

 それだけに政府側も最終処分地の選定は「簡単ではない」(経産省)とし、NUMOの担当者は「希望する自治体が出てこなかった場合は、特に有望とみられる自治体にこちらから調査を申し入れる」と話す。

 ドイツや英国では住民の反対運動で一度選んだ候補地を撤回した。処分地を決めたスウェーデンは、立地地域の振興に約300億円を投じるなど地元の理解が得られるよう努めた。

 日本は国のエネルギー政策で原発を使い続ける。既に約1万8千トンの使用済み核燃料が原発の敷地などにたまっている。この量は政府が想定する最終処分場に持ち込める容量の半分に迫る。処分場の建設などの事業費は3.7兆円に達する。原発の再稼働が相次ぎ、このまま処分地が決まらなければ、いずれ立ち行かなくなる。

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