福島第1、溶融物・がれき一体化 廃炉の難航必至

2017/7/24 20:19
保存
共有
印刷
その他

東京電力は24日、福島第1原子力発電所3号機を水中ロボットで撮影した動画を公開した。溶融燃料とみられる物質は、原子炉真下の格納容器の底を覆っていた。作業用の金属の足場や機器類などのがれきと混ざり合い、一部は一体化していた。様子の一部が見えたとはいえ、取り出し作業の方針を決めるには情報不足で、今後の廃炉に向けた作業は難航することが必至だ。

東電が公開した動画からは、原子炉下部から格納容器の底部まで広い範囲で激しい損傷が確認できた。鉄格子の足場はもとの場所になく、格納容器の底に一部がちぎれた状態で見つかった。配管は原形をとどめず、ぼろぼろになっていた。堆積物は格納容器の底に直径約5メートルの範囲で広がっており、厚さは約1メートルと推定されている。

溶け落ちた核燃料は、これらのがれきと混ざり合った状態だった。場所によっては何層にも積もっていた。長崎大学の鈴木達治郎教授は「溶融燃料が内部の物を溶かして巻き込みながら落ちたことが裏付けられた」と話す。溶融燃料と落下した構造物は一体化したものとみられている。

東電の木元崇宏・原子力立地本部長代理は記者会見で「想定していた。調査などを一歩ずつ進めていくしかない」と話した。

1979年に炉心溶融事故が起きた米スリーマイル島原発では、溶融燃料は原子炉内にとどまった。今回のように原子炉から格納容器の底まで落下し、さらに他の構造物と一体化した状態の取り出しは、これまでに例の無い作業だ。「現時点で取り出せるかどうかは判断できない」(鈴木教授)

政府と東電は今夏中に1~3号機の溶融燃料の取り出し作業の方針を決めて、2021年にいずれかの号機で回収作業を始める計画を示している。ただ工法を絞り込むのに十分な情報が集まっておらず、方針がどれだけ具体的になるのかは不透明だ。

3号機のロボット調査は一区切りで、しばらく予定は無い。作業員の被曝(ひばく)量の制限もあり、長期間の調査は難しい。今月内に別の解析結果が出る程度だ。東電は追加調査について「検討したい」と話すにとどめた。

方針を決めるには、溶融燃料の分布や形状、成分などを知る必要があり、今回のデータでは足りない。3号機の格納容器全体がどうなっているのかは把握できていない。線量データの詳しい調査も欠かせない。技術課題は山積している。

今年初めに取り組んだ1、2号機の調査でも、溶融燃料をはっきり捉えることはできなかった。東電は今後、2号機では棒状の機器の先端にカメラを取り付けた器具で再調査をする方針だ。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]