大飯原発3・4号機、安全審査合格 今秋以降に再稼働
原子力規制委員会は24日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の安全審査の合格証にあたる「審査書」を正式決定した。東京電力福島第1原発事故後に定められた新規制基準に基づく合格は、九州電力玄海3、4号機(佐賀県)に次ぐ6原発12基目。今後、工事計画の認可や地元同意などが必要で、再稼働は今秋以降になる見通しだ。
規制委は2月に審査書の原案をまとめ、1カ月間にわたって一般から意見を公募した。これらを踏まえ、関電の安全対策の基本方針が新規制基準に適合していると結論づけた。
関電は2013年7月、規制委に安全審査を申請した。審査では原発敷地内や敷地周辺の断層の活動性が大きな焦点となった。関電は敷地内で想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)をそれまでの700ガル(ガルは加速度の単位)から856ガルに引き上げた。津波を防ぐ壁など自然災害への備えも強化することで合格にこぎ着けた。
関電が安全審査を申請した高浜1~4号機(福井県)、美浜3号機(同)を含む3原発7基は全て合格となった。関電は大飯1、2号機の申請についても準備を進めている。
関電は高浜4号機を今月17日に再稼働し、6月中旬の営業運転を見込む。同3号機も6月上旬の再稼働を目指している。高浜3、4号機の再稼働と大飯3、4号機の再稼働に合わせて2段階で電気料金を値下げする方針だ。
大飯3、4号機を巡っては、周辺住民らが運転差し止めを求めており、今も控訴審が続いている。基準地震動の想定については、前原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授(地震学)が過小評価の可能性を指摘している。原発の運転には司法判断のリスクも残っている。