福島第1原発の凍土壁、遮水効果見えず 秋にも全面凍結

2017/8/22 21:54
共有
保存
印刷
その他

 東京電力は22日、福島第1原子力発電所の汚染水対策として建設した氷の壁「凍土壁」を全面凍結させる作業を始めた。早ければ秋にも完成する。東電は全面凍結により1日約130トンの汚染水を100トン未満に減らせると説明するものの、原子力規制委員会や専門家は疑問視しており、遮水効果がはっきり表れるかどうかは不透明だ。

画像の拡大

 東電は22日午前9時、約7メートルの未凍結箇所に冷却液を流し込む作業を始めた。6年前の事故の爪痕が残る原子炉建屋を背に、作業員3人が11カ所のバルブを開けた。立ち会った経済産業省資源エネルギー庁の木野正登廃炉・汚染水対策官は「凍結よりも成果を出すことが重要だ」と述べた。

 凍土壁は1~4号機の周り全長約1.5キロメートルの地下に埋めた配管に冷却液を流して管の周囲を凍らせ、建屋に流れ込む水の量を抑える。345億円の国費を投じて建設し、昨年3月から段階的に凍結を進めてきた。

 東電によると、凍結を始める前は山側から凍土壁を抜けてくる地下水量が推定で1日約760トンだったが現在は同580トンに減った。9割以上凍結を終えた壁の遮水効果は、単純計算で2割強にとどまる。

 一方で、1~4号機の周りに約40カ所ある井戸「サブドレン」で1日400~500トンの地下水をくみ上げている。15日に全面凍結を認可した規制委は、このくみ上げが主要な汚染水対策だとしており、凍土壁は「あくまでもサポート」との見解だ。

配管に冷却材を流す作業が開始された「凍土遮水壁」の未凍結区間(22日午前9時ごろ、福島第1原発)=代表撮影
画像の拡大

配管に冷却材を流す作業が開始された「凍土遮水壁」の未凍結区間(22日午前9時ごろ、福島第1原発)=代表撮影

 凍結をこれまで段階的に進めてきたのは、急激に水位が減ると建屋内の高濃度汚染水が外に漏れ出る恐れがあるからだ。摂南大学の伊藤譲教授は「水位を調整しながら慎重に作業を進めることが肝心だ」と話す。

 完全凍結が終わる時期もはっきりしない。2~3カ月かけて地下30メートルまで凍らせる予定だが、水の通り道が細いと流れが速くなって凍りにくくなる。「今回は流れが速いため従来通りというのは難しい」(東電の担当者)

 かつて「汚染水対策の切り札」といわれた凍土壁だが、劇的な効果が期待しにくいうえ、維持費も年間十数億円かかる。三重大学の渡辺晋生教授は「凍土壁は一時的な遮水対策だ。別の方式の壁を作ることも検討すべきではないか」と主張する。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 23日 7:01
23日 7:00
東北 23日 7:00
23日 7:00
関東 23日 7:01
23日 7:00
東京 23日 7:01
23日 7:00
信越 23日 7:00
23日 7:00
東海 23日 21:30
23日 7:05
北陸 23日 6:32
23日 6:25
関西 23日 6:32
23日 6:25
中国 23日 7:01
23日 7:01
四国 23日 7:02
23日 7:01
九州
沖縄
23日 22:40
23日 14:57

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報