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人工筋肉 もっと自然に 東工大や名大、開発競う

東京工業大学のチームは人の太ももの筋肉が収縮する構造をまね、人間らしく動く人工筋肉を開発した。介護や災害救助用ロボットに生かし、繊細な動作をかなえる。服に取りつけて人力を補うスーツ型装置も検討中だ。人工筋肉の研究では名古屋大学も、よく伸び縮みする新素材を合成した。電気通信大学は魚ロボットに応用した。身のこなしが柔らかなロボット技術への期待は大きく、開発に力が入ってきた。

東工大の鈴森康一教授らは太さ1.2ミリメートルのゴム製チューブの周りを高強度の合成繊維で網目状に覆った人工筋肉繊維を開発した。約400本のチューブの1本ずつに空気を送り、収縮運動によってももの裏や膝周辺の動きを再現する。コンプレッサーの空気圧を使わず、化学反応で膨らませる手法も研究している。

人の筋肉は大量の細い筋肉繊維が束になって足を動かす。これまで空気圧型の人工筋肉は繊維の直径が太かった。

新しい人工筋肉は繊維ごとに動かし、筋肉全体を細かく制御できる。段差が多い街中でも軽い足取りで歩ける二足歩行ロボットにつながる。

全身を柔らかい素材にできれば、災害現場で障害物に潜り込む捜索活動に好都合だ。3年後の実用化を目指す。介護ロボットの指や義手にも使える見通しだ。

人工筋肉の繊維を服に加工するアイデアも練る。スーツに織り込んで身にまとい、手足を動かすたびに外から力を補う発想だ。重労働でもわずかな力でこなせる。

名大の竹岡敬和准教授らは、おむつの吸水性素材などに使う高分子ゲルの製法を工夫し、10倍も伸び縮みしやすい素材を合成した。これまでもゲルを使う研究はあったが、強く引っ張ると切れやすかった。薬を包んで体に投与し、膨張と収縮を繰り返して患部に送る器具も作れる。

人工筋肉のしなやかな動きは人型以外への応用も切り開く。電通大の明愛国教授らはマスそっくりに泳ぐロボットの体を作った。本物の泳ぎ方を解析し、制御法を確立した。電気を流すとしなる繊維素材を使い、前進や後退、方向転換が自在にできる。

津波の被災地で障害物の多い水中での捜索に向く。10年後には実用化できるとみている。

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