2018年10月20日(土)

官邸の誰が…踏み込まず 東電「炉心溶融」公表遅れ
検証委報告

2016/6/16 21:19
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東京電力の第三者検証委員会が16日公表した報告書では、事故当時の首相官邸が清水正孝元社長に発表内容を事前に了承を得るように指示したなどと指摘した。事故から5年がたち「第三者の目」で事実関係の解明を進めてきたが、不明瞭さは残る。

記者の質問に答える東電の広瀬社長(16日午後、東京都千代田区)

事故発生当時、政府は原子炉の状況の説明を巡り錯綜(さくそう)した。経済産業省の旧原子力安全・保安院もいったんは「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表したものの、「炉心が破損している確率はかなり高い」と説明するようになった。

東電は今年3月、田中康久・元仙台高裁長官を委員長とする第三者検証委を設置。関係省庁への通報や社内テレビ会議での発言内容などの確認に加え、清水氏や武藤栄元副社長ら関係者のべ70人に聞き取り調査した結果、報告書をまとめた。

第三者検証委が着目したのは、事故から2日後の2011年3月13日に清水氏と枝野幸男元官房長官による官邸での面会だ。清水氏に2回聞き取りしたが、当時の記憶が曖昧などと説明。官邸の誰から具体的にどのような指示や要請を受けたか解明はできなかった。

田中委員長は「清水社長は(炉心溶融を)なるべく控えるのが望ましいという意向だと理解をしたのだと思われる」と説明した。

炉心溶融の公表遅れを巡っては、東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発が立地する新潟県の技術委員会の要請を受け、福島原発事故時の対応を社内調査を進めている過程で判明。同社は今年2月、社内マニュアルに記載された判定基準を事故から5年にわたり見過ごし、事故から2カ月後まで公表が遅れたと発表していた。

第三者検証委は、当初炉心溶融の定義がないなどと説明。用語の幅が広いことなどから「判定基準を隠していたとは認めがたい」と結論づけた。

ただ、新潟県の泉田裕彦知事は16日、「虚偽の説明をしていたということで、極めて遺憾」とのコメントを出した。今後は、県の技術委員会が東電の第三者委に求めていた約70の検証項目のうち、未検証項目や検証が不十分な事項などについて、「さらに真実を明らかにする必要がある」と指摘。東電と合同で設置した別の検証委を通じて実態をさらに解明する方針だ。

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