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炉心溶融「官邸からこの言葉使わぬように」

東電検証委の報告書要旨

【「炉心溶融」に係る通報関係等】

▽東電の記者会見での説明

東京電力福島第1原子力発電所では2011年3月12日の早朝から、1号機の炉心損傷の可能性を認識していた。同日の記者会見で小森明生常務は、炉心溶融の可能性がある旨の回答をしていた。

14日午後8時40分ごろからの記者会見中に、武藤栄副社長が、その席上で広報担当社員から「炉心溶融」などと記載された手書きのメモを渡され「官邸から、これとこの言葉を使わないように」と耳打ちをされた。広報担当社員はその指示を清水正孝社長から直接受けたと説明している。

▽官邸から東電に対する指示の有無

官邸に詰めていた東電社員は、福島第1原発1号機の原子炉建屋爆発後の写真を官邸への事前連絡なしに公表されたことに関し12日夜、首相及び官房長官から不快感を示されたため、13日午前に、清水社長に官邸に説明に赴くように進言した。清水社長は、同日午後2時頃、小森常務らと官邸を訪れ、官房長官執務室に清水社長1人が入室して、官房長官と面談した。

清水社長が東電本店に戻ってから、東電の部長に対し、今後の記者発表では、事前に公表資料について官邸の了解を得るように指示した。対外的に炉心溶融を認めることについては、慎重な対応をするようにとの要請を受けたものと受け止めていたことが推認される。

▽当第三者検証委員会の原災マニュアルに関する認定

福島第1原発の緊急時対策班の要員らが、同マニュアルを確認しながら、通報等の業務にあたっていたものと認定した。通報文に「炉心溶融に当たる」と記載した場合、その通報文が地方自治体など関係諸機関にファクス送信されることから、その通報内容がマスコミに知られる蓋然性が高かったといえる。そのため、福島第1原発において、緊急時対策班は、通報文への記載を避けた可能性が濃厚である。

【その他の通報について】

▽11~15日までの通報

12日午後3時36分には、1号機原子炉建屋が水素爆発。通報は午後4時27分だった。爆発後の放射線量変化や被害状況の報告は見当たらず、通報内容はやや不十分であり、通報にも時間がかかりすぎていると評価をせざるを得ない。

▽検証委が特に妥当性を問題視した通報

放射線量は、敷地境界付近の数値の測定にとどまっていた。状況判断には、原子炉付近での測定数値の報告が望ましかった。放射線量の顕著な上昇があった場合には、改めて通報する必要があった。例えば、15日の4号機水素爆発後の午前10時22分に付近で測定された毎時100ミリシーベルト、3号機付近で毎時400ミリシーベルトの結果は通報すべきだった。

原子炉爆発後の現場の状況や影響に関する情報提供は必ずしも十分ではなかった。ベントが決定した際にも、具体的にいつ実施するかなどの情報提供が不十分だった。

【新潟県および技術委員会と東電の協議】

18日の新潟県知事に対する東電社員からの説明では、原子炉の状況が不明のため炉心溶融したとも、していないとも言っていないが、知事側は炉心溶融を否定したと受け止めた。12年7月からの技術委員会では社員が「炉心溶融」という用語の定義が定まっていないという誤った報告をしていた。事故当時は「炉心溶融」の判定基準を知らず、事故後には判定基準が原災マニュアルから削除されたため、気づかなかった。

【提言など】

▽通報や報告について

官庁や地元住民に必要な情報を迅速かつ正確に通報する姿勢を徹底する必要がある。新潟県や技術委員会への説明は、社内の情報共有が不足していたことが原因で、共有の方策の検討が必要不可欠だ。

▽訓練の必要性

全電源が喪失した場合や配電盤が使用できない状態の防災訓練を実施していれば、適切な通報ができた可能性もある。

(肩書は当時)

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